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監査前にシフト表を改ざん

 人手不足を嘆くのは、赤山さんだけではない。真理の丘元スタッフの小泉陽子さん(仮名)は、当時のことをこう回想する。

「『ここは人が少ないわね』って入居者さんに言われたこともあります。ただでさえ介護士が足りないのに、時間を厳守するようよく言われます。例えばお風呂。早めにお風呂に入れるんやったら入れてあげたほうがええのに、上層部は、それだと人間の生活リズムがおかしくなるって言うんです。だから入浴介助の時間が集中して、めちゃくちゃ忙しくなってくるんです。あるとき、人を増やさないのかと上司に聞いてみると、『数字上は合ってるの!』と言い返されたことがありました」

 数字上は合っているとは、前出の介護保険法で定められた介護職員の人員配置基準を満たしていることを意味するという。ところが、実際には満たすどころか、帳尻を合わせただけの“偽装工作”をしていると小泉さんは説明する。

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「私の上司が、『こんなんさせられてんねん』とぼやいていたことがありました。近く市の監査が入るために、昔のシフト表を書き換える作業をしていたのです。書類上の人数を増やして人員配置基準を満たしてるとウソの書類を作っていたんですね。真理の丘は、表面だけよく見せようとして、中身は空っぽです。ある日、認知症の方が汚らしい服装をしてたとき、上司が『〇〇さん、今日家族の面会予約入ってるから、急いで服着替えさせて!』と声を張り上げていた。そういうことは、しょっちゅうです。ご家族にも、施設の実態を気付かれないようにしているんです」

 さらに小泉さんも、赤山さん同様、清掃スタッフについてこう証言した。

「清掃の人、半月くらい誰も来なかったですね。『最近掃除来ないね』って言う入居者さんもいて、気付く人は気付いてるんですけどね」

 実は、介護職員の人員配置基準の数をごまかしている施設は他にも例がある。以前取材をした別の施設では、清掃スタッフを介護職員としてカウントしており、書類上の帳尻を合わせることを日常的に行っていた。

 行政の監査といっても書類にしか目を通さない場合が多いため、容易に数字をごまかせるという。内部告発でもなければ行政は不正に気付けないのが実態なのである。