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 広末 全部チェックしています。

 有働 全部自分で!?

 広末 はい。今までは私に降りてこないご依頼がほとんどだったと思うので、その変化は大きいですね。たとえばバジェット(予算)の事情や、私のイメージに合わないなどの理由でふるい落とされていただろうお仕事にも、自分が目を留めることができるのは、すごく面白く、勉強になります。

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 有働 いや〜そうですか? 大変そうですが。

 広末 大変ですけど、お仕事に大小はないと思いますし、お引き受けすることで喜んでもらえるならやってみたいとか、自分でジャッジできるのが嬉しいです。44歳という年齢的にも、そういうステージに立つべきだろうと思いました。

 有働 40代半ばからの新たな挑戦ですね。

広末氏がメディアの前で「騒動」について語るのは初めて ©文藝春秋

 広末 これまでお仕事を引き受けすぎて、自分の中で処理しきれなくなったことも、一度や二度ではありませんでした。今後はそうならないように、自分ですべて判断することができる環境を整えられたんじゃないかなと思います。

「よかったじゃん、商品じゃなくなったんだから」

 有働 4月にはゴミを減らして持続可能な未来を目指すプロジェクトのイベントにも出席されました。騒動後初の、そして11カ月ぶりの公の場でしたが、もともと繋がりのある会社からの依頼だったんですか。

 広末 いえ、初めてご連絡をいただいた会社でした。

 有働 そうでしたか! 自然な笑顔が印象的でしたけど、緊張はしなかったですか?

 広末 これも不愉快な気持ちにさせてしまったら申し訳ないのですが、11カ月ぶりだったのかというくらいそこにいる感覚が自然で、力みすぎずいられたかなと思います。

 有働 やっぱり天職だ。もう体に染み付いているんでしょうね。

 広末 何でしょう。やっぱり好きなんだとは思います。

 有働 いっそう「自分らしく」できる仕事環境になりましたか。

 広末 今までも凄くありがたい環境でしたが、そう思います。独立した時、20年来のお付き合いになる長男の同級生の親御さん夫婦とお会いしたんです。ママの方は私の今の状況を心配してくれたのですが、パパには「でもよかったじゃん、商品じゃなくなったんだから」と言われてハッとしました。女優である私が、商品に見えていたんですね。

 有働 なるほど。彼にとっては、目の前にいる一人の母親と、女優・広末涼子が……。

 広末 恐らく別人のように見えていたのだろうと思います。今後はブランディングに力を入れることに囚われ過ぎず、自分の仕事のやり方を見出していきたいと思いました。

 このほか広末氏は、彼女をいま支えてくれている人たちへの思い、明かせなかった10代の頃のいやがらせ被害、今後の映画・ライブの予定などについて、約120分にわたって語った。

 広末氏と有働氏の対談全文は、「文藝春秋 電子版」(現在公開中)と「文藝春秋」9月号(8月9日発売)に掲載されている。

文藝春秋

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「ずっと謝りたかったんです」