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チェコのやり投げ界に身を投じた北口

 70年にわたる濃密な人間関係のもとで築き上げられてきたチェコやり投げの世界に、遠く日本から飛び込んだのが北口だった。2018年、北口は指導者を求めて訪ねたフィンランドで、ジュニア選手の指導を行っていたダヴィト・セケラークと出会う。

 世界チャンピオンという文句なしの実績があるにもかかわらず指導者がいないという北口の話を、セケラークはにわかには信じられなかったという。

金メダルを獲得した北口を祝福するダヴィト・セケラーク ©︎JMPA

 セケラークのもとで練習して4年が過ぎた2023年秋、ブダペストで行われた世界陸上で北口は優勝を果たす。チェコのスポーツメディアiSport.czは、北口とセケラークが拠点とするボヘミア西部のドマジュリツェ市でインタビューを行い、その動画とともに、セケラークのこんな発言を紹介している。

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ハルカにチェコ語でゆっくり話しかけてあげてほしい

「私たちはまず言葉の問題を解決しなければなりませんでした。私は英語がうまくなかったので、『ドイツ語ができるなら私がドイツ語を勉強します』とハルカは言ったけれど、新しく習うならチェコ語にしなさいと伝えました。実際にハルカがチェコ語ができるようになって、より多くのことを理解できていると気がつきました」

 二人は当初、練習で使う表現の日本語・チェコ語の対応表を作っていたが、チェコのやり投げの指導で出てくる単語の中には、対応する日本語表現がないものもあった。日本の練習では言語化されていないやり投げの概念を、北口はチェコ語とともにまもなく理解するようになった。

競技の合間に食事する北口 ©︎JMPA

 セケラークはことばの面でも北口をサポートする。

「若い選手たちに、ハルカにチェコ語でゆっくり話しかけてあげてほしい、彼女はそれを吸収して話すようになるから、と伝えている」