ついに幕を下ろしたパリ五輪。17日間に及ぶ激闘の中で数々の名勝負とスターが生み出されたが、開幕早々に話題になったのは射撃女子10mエアピストルに出場した韓国のキム・イェジだった。
試合映像が拡散され、イーロン・マスク氏の目に留まった
凛とした射撃姿勢とクールな表情で正確に的を射抜いて銀メダルを獲得。スタイリッシュなオーラ漂うその姿が「カッコ良すぎる」とSNSなどで話題になり、彼女が今年5月のISSF射撃ワールドカップで世界新記録をたたき出した試合映像がX(旧ツイッター)で拡散された。
その投稿があのイーロン・マスク氏の目にも留まり、「彼女(キム・イェジ)はアクション映画に起用されるべきだ。演技は必要ない!」と感嘆したこともあって、世界各地で話題となった。「映画『ジョン・ウィック』に登場しそうな殺し屋だ」「稀にみるクールビューティだ」といった賛辞が集まり、一躍、ワールドワイドな人気者になった。
まさに大富豪の一声で一夜にして世界が注目するオリンピック・シンデレラになったわけだが、実際の彼女は腕利きのスナイパーでも都会育ちのスーパーエリートでもない。
田舎町で生まれ育ち、現在は1児の母でもある
生まれ育ったのは、韓国のほぼ中央に位置する忠清北道の丹陽郡。人口3万人にも満たない田舎町で1992年9月に生まれ、射撃を始めたのも中学1年のときだった。
18歳で韓国代表に選ばれ2010年世界選手権にも出場したが、その後は国際大会でこれといった成績を残せず、2018年から2019年4月にかけては韓国国内でも活動がない空白期間があった。