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スポーツクライミングは“正式競技”ではなかったが…

 スポーツクライミングにはスピード、ボルダー、リードという3種目があり、その種目特性は大きく異なる。にもかかわらず、東京五輪ではボルダー、リード、スピードの3種目をワンパッケージにした複合種目として行われ、パリ五輪ではスピードと複合種目(ボルダー&リード)の2種目が実施された。

 これは両五輪でのスポーツクライミングの立ち位置が、正式競技ではなく、開催都市による追加実施種目だったからだ。

©JMPA

 IOCから割り当てられるメダル数や参加選手数などに制限があるなかで、スポーツクライミングの魅力を発信するために生み出された苦肉の策。そして、それを理解している選手、各国チームスタッフ、ルートセッター、ジャッジなどの競技に携わるすべての人たちは、一丸となってスポーツクライミングが盛り上がるように取り組んできた。

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これまで以上に世界から注目を集めるはず

 その成果は次回の2028年ロサンゼルス五輪で花開く。なぜならスポーツクライミングの正式競技への昇格が決まっているからだ。実施種目などはまだ決まっていないものの、世界中のスポーツクライミング関係者が望んできた、「それぞれの種目でスペシャリストたちが最高の技量を戦わせる」が実現する可能性は高い。

 その4年後に向けてスポーツクライミングでは新たな模索も始まっている。「リードやボルダーの男女混合ペア戦」「スピード種目の4~8レーン化」などのアイデアだ。実現するかはわからないが、根底には「登る」をベースにした競技の魅力を多くの人に届けたい想いがある。

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 そして、競技性が多様化すればするほど、純化した「登る」はこれまで以上の輝きを放つことになる。「一番登れたのは誰か」、と世界中の注目は集まっていくだろう。その視線の先にはきっと、異次元の攀じる能力でクライミングウォールを圧倒する森秋彩がいるはずだ。