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意外な言葉が…

 産業遺産としても貴重で、それを差し置いても素敵な地下空間だが、普段は使われていないのか尋ねてみた。すると、坑内は危険なため普段は施錠・管理されており、公開や見学会も行われていないとのこと。稀に学習会やウォーキングイベント等で鯖江市の許可が得られれば、三床山や周辺地域の歴史に詳しい舘さんが、ボランティアでガイドを引き受けているそうだ。坑内は立ち入ることができないが、周辺の箇所や江戸時代に採掘されたエリアは見ることができる。ただし、それも自己責任であることはいうまでもない。

切り出されながらも運び出されなかった石

 石切場の前に放置されていた自然と一体化したトラックについて聞いてみた。

「あれは、戦後に払い下げられた軍用車です」

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 これには正直、驚いた。そこまで歴史を刻んできたトラックだったとは。軍用車は強い構造をしているので、過酷な石切の現場に最適だったようだ。

山道で出会ったトラックは払い下げられた軍用車だった

 また、舘さんは、私がずっと石切場のことしか聞かないので「三床山には他にも素晴らしいところがいっぱいありますよ」と教えてくれた。三床山からのパノラマ眺望は素晴らしく、福井県内で人気の里山なのだという。『鯖江市 三床山』で検索してみて下さい、と舘さん。

 石切場の内部に入ることはできないが、外から眺めるだけでも一見の価値がある。参拝難易度の高い熊野神社やパノラマ眺望と併せて、三床山を訪ねてみるのもいいだろう。

 大切なことなので繰り返し書くが、石切場跡を外から眺める際は自己責任で、内部には立ち入らないようくれぐれもご注意願いたい。