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 その後、やはり恥ずかしい気持ちがあったので、一人で偉い人のところに行くときは、「オス!」ではなく「おつかれさまです」と言っていました。

 しかし、自分が少しずつ昇進・昇格していくと、次第に会う人も偉い人が多くなっていって、気がつけば当たり前のように「オス!」が言えるようになっていました。

 数ヶ月、当時の社長であった玉村社長の直下になるのですが、そのときの僕は、「オス!」を通り越して、「ゾス!」が言えるようになっていたのです。

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 これも諸説ありますが、「ゾス!」は「オス!」の上位互換だと教わりました。

「ゾス! 失礼します!」と言ってノックして社長室に入ります。

 そのときはそれが当たり前と思い、会社に染まりまくっていましたね。

 日常の挨拶では、「オス! 鎌田です!」という感じで、上司の役員に指示を出されたときにも「オス!」と返事します。

 上司にメールを打つときも、「オス!」から本文が始まります。

 何もないときにも、とりあえず「オス!」と言えば大丈夫なときがあります。

 1万人以上も社員がいると、「オス!」も進化して、「ザス!」と言う人もいれば、「オスオス!」と言う人もいました。

組織に染まることのメリット

 ここで読者のあなたに質問です。

 組織や集団に、一度でも染まったことがありますか?

 若い人はこういう文化を嫌うかもしれません。

 ただ、やってみて思うのは、「一緒に過ごした一体感は生まれるんだな」ということです。

写真はイメージ ©getty

 当時の昔話をするときにネタにすることも楽しいです。

 人生は長いです。

 一生のうちに、こういうものに染まる時期があるのも、そんなに悪いことではないと思うのです。