そんなわけで、今回自民党総裁選に名乗りを挙げた11名(+1名、記事執筆8月20日時点)のラインナップを見ていきたいと思います。
なんでこんなに出てきたの、という点では、岸田文雄さんの「閣僚でも総裁選に出たいなら業務に支障のない範囲で頑張ればいいじゃないか」という容認が出た上、派閥も解消になったのでいろんな人に声が掛けられる点、さらに上を目指す議員にとっては今回出馬で名前も上がらないようでは先が見えてしまうという点で、記念出馬だとしても出られる馬がいい馬だという面はあるのでしょう。実際、名前も挙がらず出たくても出られない議員のほうが多いのですから。
掲載の順番は「自らが出馬意思の表明を行った(ことが報じられた)順」でございます。
「金ぴかの経歴と、岸田文雄さんをキレさせた実績」小林鷹之(49歳)
自民党4回生の中でも抜群の体力と金ぴかの経歴に裏付けられたスキのない地元対策で、選挙での盤石な強さを引っ提げ小林鷹之さんが大逃げを打っています。一番乗りだったためにメディア露出も増えて、今回勝つかどうかはともかく次回以降も注目候補として名前が挙がっていくことでしょう。ただ、小泉進次郎さんの出馬表明後は、徐々に勢力も下り坂。どこまで主要候補として粘れるかが焦点となってきました。
出馬演説を見る限り、もうすぐ50歳という素材に相応しい重みが感じられない一方、政治とカネの問題では序盤から旧安倍派の面々を擁護するような発言をブチかまし、岸田文雄さんをキレさせ退陣表明を繰り上げさせた実績を持っています。
議員としては中堅やや下に位置することもあり、選挙に弱い超大物・甘利明さんの傀儡になるのではという懸念もありつつ、実際に小林鷹之さんの推薦人は過去に高市早苗さんを支援した面々も並んでいて非主流派と若手の声望を一気に集める展開になっていますね。どちらかというと清和研究会的な保守寄りの立ち位置で、裏金議員を擁護する発言をしてしまったことで微妙な雰囲気になっています。
「地味に自民党員獲得数で23年度のトップ」青山繁晴(72歳)
割と早いタイミングで名乗りを挙げていたはずが、みんなあまり本気で取り合ってくれない青山繁晴さん。まあ、議員としての実績はほとんどありませんからなあ……。参議院議員(それも全国比例)なので河野洋平・谷垣禎一に続く「総裁選に勝っても総理になれなかった人」を目指すことになるんでしょうか。本人がYouTubeでワーワーお話をされていますが、取材していても誰一人として青山繁晴さんに触れる人がいないので、エア出馬なのか本人の勘違いなのか、とにかく無風です。
そういう微妙な人もウェブではなんだかんだ人気があって、30万票ぐらい取ってくれます。ふだん自民党なんて投票しない人でも一票入れていきなよっていう自民党の支持のウイングを広げてくれる人なので、身体から金粉が出ても気にしない。面白党員票の収容先として高市早苗さんあたりと悪魔合体してくれればもう少し青山繁晴さんにも注目が集まるのではないかと思わなくもありませんが。
地味に自民党員獲得数では青山繁晴さんが23年度に関してはトップだった、というのは忘れてはなりません。