12人が乱立し、思いがけず大変なことになってしまった自民党総裁選。「自らが出馬意思の表明を行った(ことが報じられた)順」で、前編では小林鷹之さん、青山繁晴さん、高市早苗さん、上川陽子さん、石破茂さんまで紹介してきました。

 後編は、まさかの本命になりつつある小泉進次郎さんからです。

「人気あるし真面目だし毛並みもいいんだけど能力的に全く未知数」小泉進次郎(43歳)

小泉進次郎 ©文藝春秋

 いつかは勝負をかけてくるはずのプリンス、どうも出馬含みの話が出てきて踏ん切りがついた模様です。出馬方針が明らかになれば推薦議員20名のハードルも楽勝でクリアになるとしつつも、なぜか本人が電話かけて推薦人集めをしているご様子。

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「まだ推薦人集まり切っていないので、先生にもぜひご協力をお願いします」と下手に出る作戦なのでしょうが、さすがに海千山千の先生方は「出馬表明後に議員票をお願いするより出馬前に一本電話を入れておくような芸って、いったい誰が仕込んだんだろうね」と仰っておりました。進次郎さん自分で考えた作戦なんですかね?

 もちろん最大の障害は、人気あるし真面目だし毛並みもいいんだけど能力的に全く未知数なことで、周りにまともな奴をつけて担げばどうにかなるだろうとしつつも「軽い神輿にも限度がある」「飯を食っていてもやる気は伝わるが、何をやろうというのか良く分からない」など身近なところでの評判もさんざんです。古い自民党政治を立て直す的立ち位置なのに、実は長老が後ろ盾の世襲4世であって、おまえいろいろ言うけどしょせんは体制側じゃんってのはあります。

 一番面白かったのは「あいつは富士山みたいなもので、遠くから見ていればかっこいいんだけど、近くにいるとゴミだらけだからいい距離感でメリットを引き出しつつ付き合うしかない」という長老のお言葉でありました。頑張ってほしいと思います。

 「人気は陰り気味だけど熱心に推す議員も」河野太郎(61歳)

河野太郎 ©文藝春秋

 自然エネルギー財団お手盛り事案にデジタル庁での失態と、国民からの人気も陰り気味の河野太郎さんももう61歳。若手どころか中堅すら超えて重要閣僚経験者ですから、そろそろ勝負をかけないといけない時期に差し掛かってきました。かねて脱原発を掲げて自民党内の左派として論客商売をしていたのもいまは昔、議員票を集めるためにも原発推進に回ったものの河野さんを信用できるのか問題が付きまとうのも致し方ないところかなあとは思います。

 他方でこの難局で突破力があるのは河野太郎だとばかりに太鼓判を捺す議員も周辺にはおり、なんだかんだ「河野さんが出るというのなら推薦人で出る」「能力と人気を比べれば、本格政権を見込める河野太郎さんに期待するのも当然」と熱心に推す議員がいるのも事実です。

 もちろん、後ろ盾として期待するのはガースーや麻生派なのですが、本当に突破力があるのなら今回乾坤一擲で麻生派からの離脱も選択肢にあったんじゃないですかねえ。案の定、ガースーからは小泉進次郎推しを表明され、麻生派も幕下の甘利明さんが小林鷹之推しなのもあって自由投票になりかねない雰囲気です。……何のために麻生派にいるの?

 一時期は「官房長官に齋藤健をつけるから河野太郎で」とメディアに話を流していた長老もいたんですが、最近は話を聞かなくなりました。もっとも、齋藤健さんも今回出馬したがってますからね……。