総裁選で誰が何を言うのかはちゃんと見ておこう
他方で、岸田政権の積み残した荷物を新総裁が引き受けるにあたっては、まず何よりも解散総選挙を早期につつがなく実施し、来年の参院選と都議会選挙で勝利の道筋をつける選挙管理内閣としての役割があります。
それと並んで、実は喫緊の課題である政府や自治体の情報化や円安物価高、何より高齢化に伴う社会保障改革は待ったなしであり、国民の生活の基盤となる年金や社会保険料も含めた世代間格差をどのように埋めていくのかは難題として残されました。
選挙で勝てる顔を選びたいというのは間違いなくそうであるとしても、その若く新しい総裁総理が早期解散総選挙で勝つ横には高齢者の貧困や地方の人口減少問題などの特効薬のない政策分野が横たわっていて、国民の生活に直結する問題がそのまま残っています。
今後、自民党総裁選では出馬各氏が華やかに政策論争を行う裏で、診療報酬改定や国防・警察DX、年金・社会保障、エネルギー基本計画の策定など重要な政策課題が目白押しであることも踏まえて、誰が何を言うのか、国民にとって誰が為政者として本当に相応しいのか見極めていく必要があるのではないかと思ったりもします。
さらに、今回の自民党総裁選は、なんだかんだでせいぜい100万人の党員と自民党国会議員だけが投票権を持つ、別に法律で決められたわけでもない何でもありの内輪の選考に過ぎません。そこで選ばれる疑似的な政権交代の結果、実はほぼ全国民の生活が左右されるという歪で不公正な枠組みになっていることはよく理解しておくべきです。
もちろん、公党がそういう形で党のトップを決める、そしてそれが与党として政権を担うのだから、間接民主主義の原点からすれば当然なのだとも言える一方、自民党総裁選が毎回盛り上がるたびに「本当に、これでいいんだっけ」って思ってしまうんですよね。