さぁ、自民党総裁選の季節がやって参りました! 総裁選大好き芸人の私が今回の見どころを紹介していきたい。

 まず説明しましょう。総裁選とは「興行」なのである。自民党のPRイベントと考えればよい。候補者たちはテレビ局などをまわり、不人気な前任者とそれまでの党の失態を忘れさせる宣伝をする。

自民党総裁選のポスター ©時事通信

 新総裁が誕生したら早めに解散総選挙をすることもある。その場合、自民党は今度はテレビ局に「公平中立な報道を」とけん制しまくる。お約束のこの振る舞いは今回も見どころの一つ。

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 お約束といえばこの時期は候補者や政策が出そろう前に「次の首相にふさわしい人」という世論調査の結果を新聞が発表する。謎の人気投票をして興行を盛り上げる。新聞は社説では政策論争をと書くが、政治部記者は権力闘争が嬉しくてたまらない。

大きな興行をするときは大きな嘘が必要なのである

 さて総裁選は「興行」と述べたが、大事なのは売り文句だ。どれだけデカいことを言えるかに尽きる。東京五輪を思い出してほしい。招致委員会は国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルで次のようにプレゼンしていた。

「五輪が開催される東京の夏は温暖で、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候です」

 海外メディアからは「うそつき」とツッコまれていたが、大きな興行をするときは大きな嘘が必要なのである。事実、東京五輪は招致に成功できたから大きな嘘、いや、夢のような言葉は有効なのだ。

 では今回の自民党総裁選での夢のような言葉とは何か? 自民党の発信や報道をみると「脱派閥」であり「刷新感」だろう。次の記事を見てほしい。