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「当時はまだ著名人が法的措置を取ることは少なく、私が受けた相談でも『法的措置を取ったら余計に叩かれないか』と不安がる依頼者も複数人いました。だからまずは私が率先して、誹謗中傷に関する裁判を起こすことにしました。自分が被害者になったことで、卑劣な誹謗中傷に苦しむ人を救いたいと改めて思ったんです」(同前)

 弁護士である自分が裁判をすれば、情報開示請求の認知度は上がり、裁判へのハードルも下がる。そうすれば、誹謗中傷に悩む人を少しでも減らせるはず……。

※写真はイメージ ©beauty_box/イメージマート

 そう考えた中川さんは、執拗な誹謗中傷行為をおこなう数名のアカウントをピックアップして開示請求を行うことにした。

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「もちろん、第一の目的はあくまでも僕自身の被害回復です。僕自身、非常に傷つきましたから。ただの弁護士である自分に粘着し、あらゆることに文句をつけてくる匿名アカウントの中身が、どんな人物なのか興味もありました」(同前)

「依頼の相場は50~100万円。取り返せる金額は…」

 アンチのほとんどは裁判所から書類が届いた瞬間に平謝りしたが、中には「何が悪いんだ」と開き直る人もいたという。

 それでも中川さんは、粘り強くアンチの身元をひとりひとり突き止めていった。次第に、中川さんのもとには情報開示請求に関する裁判の依頼も増えた。

 しかし侮辱罪が法改正で厳罰化されたとはいえ、まだまだ匿名の相手を特定して法的措置を取るにはハードルがあり、コストの問題が足を引っ張ることもあるという。