「たとえばXで特定アカウントから誹謗中傷を受け、そのアカウントの利用者を特定するために弁護士に依頼すると、費用の相場は、50~100万円程度になります。しかし、実際に相手を特定して損害賠償請求をしたところで、20万円程度しか取り返せないことがほとんどです。書き込みの内容が酷い場合には賠償金が100万円を超えることもありますし、僕が扱った案件で150万円を回収したケースもあります。とはいえ赤字となることが多いとなると、開示請求に関する裁判はある程度経済力がある人でないと難しいのが現状でしょう」(前出・中川さん)
また開示請求には最短で1カ月、長くて1年半と膨大な時間も要する。時間も金もかかる、となれば多くの人が二の足を踏むのも当然だ。
これでは本来救うべき人が救えないと感じた中川さんは、誹謗中傷で悩む人の実態を探るために「無料で誹謗中傷の法的措置をします」とXに投稿。すると、ものすごい反響があったという。
「無料で誹謗中傷に法的措置」に1300人以上から依頼が殺到し…
「2週間弱でなんと1300人以上から相談のDMが届きました。費用面で躊躇しているだけで、やはり誹謗中傷に悩む人というのは多くいるんだと再認識しました」(前出・中川さん)
殺到したメッセージの中から、中川さんは40人の依頼を無料で引き受けたという。40人の依頼はそれぞれ異なる結末を迎えたと中川さんは話す。
「掲示板に通知をして投稿を削除させたものや、相手を特定して損害賠償請求したもの、刑事告訴をして有罪判決まで持ち込んだものまで、いろいろな案件がありました」
中川さんは自身や著名人の開示請求、またX経由での相談など、多くの開示請求に関する裁判を通して、中川さんは「誹謗中傷をしていた相手」と対峙してきた。中川さんが実際に目撃した、開示請求されるほどの悪質な書き込みを行う人は、一体どのような人物なのか。