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 シーズン途中の入団ながら救世主的な活躍で、得点力不足のチームの起爆剤になっていたエリエ・ヘルナンデス外野手が守備中に左手首骨折の重症を負い、今季復帰絶望となったのだ。

 チームはペナント争いのヤマ場を前にキーマンを失う形となり、阿部監督は「俺の心も折れそう」と骨折にからめてコメントしたが、その表情からはショックがありありと見て取れた。

「監督は最終的にシーズンを1位で終えるためにチームマネジメントに細心の注意を払ってきました。6月下旬に坂本勇人に故障や体調不良以外では17年ぶりの2軍調整を命じたのも、勝負どころで1軍に上げることを見据えてのこと。全ては最後に笑うための我慢だったので、ヘルナンデスの離脱は痛いなんて言うものではありません」(前出の球団関係者)

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長嶋茂雄氏など、巨人の監督はながらく野球界の顔だった

「まさか去年のように辞めるとは言わないよな、と心配している人も」

 ヘルナンデスの離脱を境に、阿部監督の発言には焦りがにじむようになった。

「阿部監督はもともと感情が出やすいタイプです。ヘッドコーチだった去年、球団に辞意を伝えていたこともありました。コーチを束ねる立場として成績不振に対する責任や、年長のデーブ(大久保博元・元打撃コーチ)との相性が悪かったことが理由です。

 結果的には監督就任要請で慰留ということになりましたが、今年優勝を逃した場合、まさか去年のように辞めるとは言わないよな、と心配している人もいるくらいです。選手にはいろいろと言いたいことを我慢してきただけに、シーズン最終盤に不規則な発言が出てきやしないかとチームはピリピリしているんです」(同前)

 阿部監督は2軍監督時代にパワハラ体質を指摘され、当時の原辰徳監督から「おまえさんは思ったことを、一度飲み込め」と諭された逸話は有名だ。

原辰徳氏の存在感はいまだに大きい ©時事通信社

 昨年、その原から監督の座を引きついだ会見の場では、原監督から指導者生活が「永遠の修行」だと教わったことも明かし、これらの言葉を胸に刻んできた。

 精神修行の成果は出るだろうか。