昨年まで2年連続でBクラスに沈んでいるプロ野球・巨人の、覇権奪回に向けたペナントレースがいよいよ佳境に突入する。

 就任1年目にして優勝争いに絡んでいる阿部慎之助監督(45)だが、チーム内には懸念の声も出ている。さる球団関係者は「決して我慢強い人ではありません。これから1勝の重みが増してくる中で、思わず出てしまう選手への本音が命取りにならなければいいのですが……」と求心力低下の危うさに言及する。

阿部慎之助監督 ©時事通信社

 8月23日の中日戦(東京ドーム)、阿部監督は中大の後輩のドラフト1位ルーキー西舘勇陽投手をプロ初先発に起用したが、2-8と大敗を喫した。下位チームへのふがいない内容での取りこぼしに、試合後はチームに奮起を促すかのように記者会見を拒んだ。就任後113試合目にして初めての事態だった。

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鉄拳制裁も罰走も無しの状況に「やりづらさを感じながら」

 前出の球団関係者はこう証言する。

「阿部監督は感情に任せて会見拒否したわけではないんです。セ・リーグのペナント争いは広島、阪神との三つどもえが最後まで続く気配が漂っています。最終盤に来るであろう正念場を見据え、ここらで一度チームを引き締めるという狙いがあったようです」

 阿部監督は就任以来、メディアに積極的に対応してきた。記者の向こう側にいるファンを意識するとともに、選手に自らの方針を伝えるツールとしても取材の場を重宝してきたからだ。

前任の原辰徳監督はサービス精神の塊だった ©時事通信社

「鉄拳制裁などは既に御法度になっています。監督が2軍監督時代に、(プロアマ交流戦で)早大に負けたときに課した罰走も、不適切な指導と非難されました。阿部監督は時代の変化にやりづらさを感じながらも、新たな価値観に適応していく必要に迫られ、選手起用とともにマスコミ戦略を重要視してきました」(同前)

 今の選手にはしかし、メディアを通じての叱咤激励さえ通じないことがある。