森健児 支配人は「労働人口の流出が進んでいて、地元からの新卒・中途採用とも大変厳しい雇用環境にある」と打ち明ける。

 

何とか派遣スタッフで必要な人員を確保したが、人材派遣会社を通すとコストがかかるうえ、通常が1~3カ月の短期契約のため、仕事に慣れてきた頃には退社してしまい、新たな派遣スタッフへの教育をやり直さなければならず手間がかかるという。

 

堂ヶ島ニュー銀水には8月の1カ月だけで1万人あまりの宿泊に訪れるホテルで、約140人の従業員を抱えているが、2024年7月時点でその3割が派遣社員だ。

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堂ヶ島ニュー銀水・森健児 支配人:
年間を通してある程度の稼働を維持するためには、やはり短期間の派遣スタッフより中長期的に活躍してもらえる地元の人材を求めている。そのためにも、より福利厚生を向上させ、働きやすい環境であることをPRできるように企業努力が必要だと思い取り組んでいる

外国人雇用に活路を求める

音羽支配人とパサン副支配人(右)

地元だけでの従業員の確保が難しくなるなか、外国人の雇用に舵を切ったのが2019年にオープンしたホテルの繭二梁(まゆふたはり)だ。

フロントスタッフ7人のうち日本人のスタッフは支配人1人だけで、副支配人もスリランカ出身のパサンさんが務めている。

 

音羽恵津子 支配人はパサン副支配人のことを「思いやりもあり、この仕事が彼にはとても合っている。お年寄りが大好きで、日本人も日本という国も大好きなので。彼から学ぶことも多々ある」とほめる。

 

繭二梁・パサン副支配人:
子供の頃から日本に興味があって、いつか日本に来て働きたいと思っていた。日本人のおもてなしの心が知りたくて、この会社の支配人からも勉強させてもらっている

 

来日してから6年。

日本語での接客にも問題はなく、評判も上々で、宿泊客は「こういう時代なので多様性も進んでいて特に違和感はなかった。すごくまじめな雰囲気も伝わってきて、安心感もあるので、特に問題はない」と、パサン副支配人を評価する。

とはいえ、その外国人スタッフの採用も容易ではなくなっていることから、音羽支配人は教育の重要性を実感している。

パサンさんが副支配人を務める「繭二梁」

繭二梁・音羽恵津子 支配人:
より優秀なスタッフを育てていく。素質のある子たちを1日でも早く育て、一人前で、お客様に不愉快な思いをさせないように、逆にお客様から褒めてもらえるようにしたい

観光業にも押し寄せる人手不足の波。

それぞれの施設の苦悩やチャレンジは、この先もしばらく続きそうだ。

(テレビ静岡)