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メタ社は「営利企業として合理的に振舞っている」だけ

〈メタが、日本では公表しない言語ごとの対応人数をEUでは開示するのは、EUにデジタルサービス法(DSA=Digital Services Act)という強力な法律が存在するからだ。オンライン上の情報空間の安全とユーザー保護を目的に、PF事業者らに偽・誤情報や違法なヘイトスピーチなどのコンテンツについての一定の対応を義務付けるものだ。そして違反した場合は最大で全世界前年売上の6%の制裁金が科せられる。メタの2023年の世界総売上は1349億ドル。仮に6%の制裁金が科されるとすれば、今のレートだと日本円にして1兆2000億円になる〉

〈日本では現在、冒頭の総務省の検討会でDSAに相当する法制度整備について議論している途中で、偽・誤情報や偽広告のモデレーションをPFに求めるための制度は現時点では存在しない。(略)したがって、対応コストが非対応コストを上回ることが明らかな状況下で、対応しないというメタの選択は企業としてはある意味合理的なのである〉

 つまり、若江氏によれば、メタ社は「日本をなめている」のではなく、「営利企業として合理的に振舞っている」だけなのだ。

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若江雅子氏

問題の元凶は「国外」よりも「国内」にある

 その上で若江氏は、問題の真の所在について、こう指摘する。

〈PFの台頭で日本の利用者に不利益が生じているのにいつまでも手当てされない、ということは今回に限ったことではない。ただ、それらは日本政府の規制に対する慎重な姿勢に起因するのではないかというのが、PF問題を取材してきた筆者の問題意識である。さらに、規制の強化に強く反対しているのが日本の事業者であることも珍しくなく、結果として本来なら競争相手のはずの海外PF事業者を守っているのではないか、と思うこともしばしばである〉

 問題の元凶は「国外」よりも「国内」にある――我々がまず認識すべきなのは、このことだろう。

 この他、「サードパーティ・クッキー問題」「個人情報の定義」「海外PF企業への制裁のあり方」「EUの対PF戦略」について論じた、若江雅子氏の「日本はGAFAに甘すぎる」は、「文藝春秋」2024年10月号(9月10日発売)、および「文藝春秋 電子版」(9月9日公開)に掲載されている。

文藝春秋

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日本はGAFAに甘すぎる