1ページ目から読む
3/3ページ目

パワハラ軍団は、「瞬間風速的に成果がバッと出る」ことがあるが…

 そして、ごくまれに「パワハラ上司と相性の良い部下」が出現するのも事実です。とりあえず3000円払ってガチャ回したら、パワハラ対処スキルを持つレアカードが出るようなものです。やったぜ。

 ただ私の経験では、だいたいそいつもパワハラの素質があるんですよね、悲しいことに。そして、組織内にパワハラ軍団ができる。関東軍とかなんとか言われつつも、とにかく威圧して組織で仕事を部下に詰め込めば成果が出るタイプの案件では、携帯電話販売会社かと思うぐらい優秀な組織ができてしまうんです。瞬間風速的に、成果がバッと出る。

 例えば、3か月で3600万人の高齢者が2回接種できる量のワクチンを全力で打たせろって強硬策をやるような感じの、とりあえず振り向かず頑張れという仕事なら、パワハラでもうっかり成果が出て「優秀」と判断されてしまうんですよ。

ADVERTISEMENT

©時事通信社

 しかし、世の中にはそういうブルドーザーを前に出せば終わるような仕事ばかりではないから、いざ込み入った話をしようとなると誰もついてこなかったり、すでに人気が失われていたりして「こんなはずじゃなかった」となる。まあ、当然だと思うんですよね。

 気に入らない意見は理由つけてブロックするとか、政権を支える責任者の一人として推進していた防衛増税をやめる表明をして顰蹙を買うとか、まあいろいろあります。周りに人がいなくなったパワハラは、斎藤さんのようにどこかで躓いて、再起できないほど晒し者にされてしまうことになるのです。

 一番厄介なのは、自分でやりたい放題やって、退職者や、場合によっては自殺者を出しているから責任を問われているにもかかわらず、俺は悪くないの気持ちの果てに何かを未遂するケースです。

 法的措置に出るぞとか、飛び降りるぞとかやるやつですね。「人間だもの」では済ませられない結論になりがちなのも、こういう組織で起きるトラブルですし、どこの組織でもボスが天皇化してワンマンになり、パワハラ組織が蔓延して統制が利かなくなる前に周辺は逃げるしかありません。残念ながら。