兵庫県知事の斎藤元彦さんが粘りに粘っていて、百条委員会もバッシングも何のその、俺悪くないもんぐらいの勢いで頑張っております。斎藤さん擁護側も、さすがに2人も部下が亡くなっていることの因果関係に踏み込まれると藪蛇と思っているのか、どことなく遠慮気味の論陣を張っていて、兵庫を巡る暑い夏は続きそうです。

 なにぶん、今回斎藤さんがいくら粘ったところで、知事の任期は来年2025年7月31日で満了です。知事の椅子にしがみついても地獄、追い込まれて辞めて再出馬しようにも人心が完全に離れていれば地獄。大変ですな。パワハラボス最大の危機がここにあるんですよね。

斎藤元彦知事 ©時事通信社

 つまり、どっちに転んでも近いうちに知事選にはなるのでしょう。声望がここまで失墜してしまうと難しいにせよ、斎藤さんがもし次を考えるなら「知事の辞め方」が大事になります。

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 知事の不信任決議が議会で可決されたり(地方自治法178条)、有権者の3分の1以上によるリコールが出たり(地方自治法81条)、あるいは「おねだり」を含む贈収賄に絡む刑事告発や住民訴訟の提起が出たり(地方自治法242条の2)、いろんなバッドエンドルートはあります。

 どれも、日本維新の会がどのタイミングで斎藤さんを見放すかで決まるという点が重要になってきています。ダメなら傷口の浅いうちに次いこ次、ってなるのが政治ですからね。仕方ないね。日本維新の会と菅義偉さんの、斎藤都知事に対する“製造物責任”が問われているとも言えましょう。

 さらに、明石市勃興の立役者で瞬間湯沸かし器の声望も高い俺たちの泉房穂さんも兵庫県知事に名乗りを挙げるの挙げないので騒ぎになっております。見た目はああだけど割と優秀なんですよねえ、泉さん。

 新旧パワハラ対決が実現してしまうのか、注目が集まります。もっとも、やらかした意識を微塵も感じていなさそうな斎藤さんに対して、ブチ切れるたびにその後冷静になって反省してしまう泉さんはまだまともなほうです。

元明石市長の泉房穂氏 ©文藝春秋

ヒラとして活躍しているうちは慎ましく静かな奴でも…

 日本維新の会の声望が兵庫県で地に堕ち、逆噴射を始めている現状では「ほかにもっとちょうどいい奴はいないのか」という兵庫県民の声がこだましています。

 思い返せば前回2021年の自民党総裁選でも、パワハラをテーマにした政治記事を書いていました。検索したら出てきたので「文春も酷い記事を書いてるな」と笑って読んでいたら、まさかの自分の記事でした。すっかり忘れていた(河野太郎、平井卓也、西村康稔、茂木敏充の“自民党パワハラ四天王”はどこへ向かうのか)。

 この斎藤元彦さんも兵庫県知事になる前は俺たちの総務省でキャリア官僚をなさっており、当時の斎藤さんのことを知る総務官僚に「あいつどうなのよ」とイタ電すると、「言われているほど悪い奴ではなかった」とか「パワハラするような雰囲気ではなかったんですけどねえ」などの回答が得られます。

 ただ、これはもう組織あるあるですけど、ヒラとして活躍しているうちは慎ましく静かな奴でも、権力を握り、部下を扱うようになると態度が豹変することがあります。お前、そんな奴だったっけ。