人民レッド、FIFAランキング87位
いっぽう、野球とは異なり中国のサッカー人気はかなり高い。習近平のサッカー好きも有名だ。ただし、中国代表はいまいち弱く、FIFA世界ランキングは87位(今年7月18日更新。なお日本は18位)。資金力はあるはずなのに、長年なぜか強くならない哀しきチームである。
とはいえ、私の乏しいサッカー知識からすると、2002年の日韓共催W杯では本選出場を果たしていたはずである。サムライブルーに対抗して人民レッド。きっと彼らは底力はあると思う、たぶん。
すくなくとも、野球と比べればいい試合をするはずだろう。なにより、サッカー好きが多い中国サポーターがどんな人たちなのかを見てみたい。そこで私たちは、W杯予選の日本開催のチャンスに飛びつき、再び中国代表を応援しに行くことにしたのである。
私は愛用の中国メーカー・リーニン製の「中国」シャツを着用、さらに友人が真っ赤な中国代表ユニフォーム2着と巨大中国国旗2枚を準備し(なんでそんなの持ってるんだ)、女性2人はチャイナドレスで来た。
誰もサッカーのことはよくわからないが、私たちはいま間違いなく、わが国でいちばん中国を愛している日本人である。今月18日に出る自分の著書のタイトルが『中国ぎらいのための中国史』(PHP新書)だったことはひとまず忘れよう。
「中国必勝」シャツと漢服の夫婦発見!
東川口駅で下車して、一緒に観戦する友人たちと合流すると、ちらほら中国サポーターの姿も目につきはじめた。スポーツ観戦は不思議なもので「中国代表を全力で応援する」と決めてしまうと、青ユニフォームを着た日本人の群れよりも真っ赤なユニ姿の中国人のほうに仲間意識を感じてしまう。
埼玉スタジアム2002は最寄り駅から遠いので、私たちは東川口駅からタクシーで向かう計画だったが、配車アプリでも車両がまったくつかまらない。仕方なくバス停に向かったところ……。道に迷っている30歳前後の男女がいた。男性は「中国必勝」と書かれた赤いTシャツ姿で、女性は漢服である。どう見ても中国人だ!
声をかけてみると、なんと新婚夫婦である彼らは故郷の山西省からトランジット地の上海を経由し、この日は朝4時起床で飛行機に乗り12時過ぎに成田に到着。機内食以外は食事もとらず、東川口まで長駆突撃してきたという。当然、日本語はできない。来日は2回目らしいが、ものすごい行動力とスケジュール設定だ。この日に代表戦を見た後、9日程度こちらに滞在して旅行するそうである。