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――三ツ矢さんとしては、隠していたつもりも、カミングアウトしたつもりもなかった。

三ツ矢 〈グレーゾーン〉と言えば、みんな察してくれると思ってたんです。でも意外と、はっきり言わないとわからなかった人が多いみたいで。あの番組がきっかけで、一般の方々にも「三ツ矢雄二はゲイ」だと知れ渡ったので、「ああ、これは今後の声の仕事に影響するな」と思いました。

©橋本篤/文藝春秋

――どんな影響があったのでしょうか。

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三ツ矢 ここ数年、声優としての仕事は「ストレートの役」が減り、「クセの強い、変態チックな面白い役」をもらうことが増えました。僕がゲイだと知られたから、そういう役をオファーされるんだろうと理解しています。でも、それはそれでよかったかな、と。

 ゲイであることは僕の個性だし、そのことを恥じる気持ちもないし、苦労したこともない。まぁ、ものすごく得したこともないけど(笑)。だからそのことで仕事的にどう扱われるかは、身を任せるしかないかなと思ってます。

彼は一度、女性と浮気をしたことがあった

――三ツ矢さんは現在、シングルだと公表されています。10年以上お付き合いしていた例の彼とは、その後どうなったのでしょうか。

三ツ矢 彼とはずっと一緒に住んでいたんですよ。ところが30代半ばになって、彼が「実は、女性と結婚しないといけない。おばあちゃんが『結婚式を見届けるまでは死ねない』と言っている」と言い出したんです。

 当時の僕は仕事が猛烈に忙しくて、彼をないがしろにしていました。だから彼は、寂しかったのかもしれません。

三ツ矢さんが『タッチ』などに出演していた30代の頃。「当時はレギュラーを10本以上抱えていました」(本人提供)

――彼はゲイだけど、それを隠して女性と結婚する、と?

三ツ矢 いや、たぶん彼はバイセクシュアルだったんですよ。この話は初めてするんですが、彼は一度、女性と浮気をしたことがあったんです。彼は隠し事ができないタイプで、話しているときに「この間、女性と……」と言い始めて。

――それはショックですね。

三ツ矢 僕は「ちょっと待って、聞きたくない! 浮気するのは自由だけど、僕にわからないようにして」と言って、そのときは終わったんです。

 でもよく考えると、10年以上付き合っていたので、僕の気持ちも「愛情」の愛が抜けて、情だけになっていたんですね。それに、世間的には結婚していておかしくない年齢だし、彼が結婚して普通の家庭を望むなら、送り出してあげることが、僕が受けた愛情の恩返しかなと。彼が幸せになるのを邪魔しちゃいけないと思ったんです。

 すると彼が、変なことを言い始めて。