――本作は、不倫された妻・真山千里の魂が、夫の愛人・三井瑠奈の体に宿ったことから始まる復讐劇です。心は妻・肉体は愛人という愛憎と怒りを抱えた役どころで、これまで演じてこられた『ガチ恋粘着獣』の輝夜雛姫や『めぐる未来』の日南小夜に続いて、かなり激しいキャラクターですね。
あっ、確かにそうですね! 雛姫ちゃんは動画配信者に“ガチ恋”してしまうファンの女の子で、ストレスがたまると爪をガジガジ齧るんです。ジェルネイルをすごく強化してもらって撮影に臨んだんですけど、本気で噛んだのでボロボロになっちゃいました。
――大きな目をカッと剥いた狂気的な表情も印象的でした。可愛らしいビジュアルとのギャップは原作漫画の雛姫そのものでしたね。
どの作品も「見た目から忠実に」というのは意識していました。漫画と見比べて研究するんです。雛姫ちゃんの腰まで届くロングヘアを再現するために、エクステも初めて付けました。
『めぐる未来』の小夜ちゃんは、明るい髪をツインテにして、ロリータっぽいファッションを着ているんです。なので私も髪をブリーチして、大きなリボンやフリルのついた衣装に似合うメイクをスタッフの皆さんと作り上げていきました。
――『愛人転生』の瑠奈はインフルエンサーという設定だけあって、華やかなファッションに身を包んでいますね。
ビジュアルで言うと「リアル香音」に一番近いキャラクターかもしれません。いつもの自分の要素も出しながら、瑠奈ちゃんや千里さんになっていける。その意味では、これまでとアプローチの仕方が少し違いますね。
千賀健永と「気持ちの整理」をして……
――瑠奈として振る舞いながら、内心では千里として復讐心を燃やし、夫を罠に陥れていく……という難役です。千里と瑠奈のグラデーションに苦労されたのでは?
そうですね。「千里感の強い瑠奈」「瑠奈感を頑張って出している千里」などを、徐々に変化させていったりスパーンって突発的に切り替えたり……。でも大変というより楽しいです! ありがたいことに、監督や共演者の方々とすごく意見交換できる現場なので。
とくに「転生したて」のシーンをどう演じるかはじっくり話し合いました。千里は瑠奈と一緒に交通事故に巻き込まれて「転生」してしまうのですが、事故直後は千里自身も状況を理解できていない。転生前の千里を演じている(小島)藤子さんと「人間でいえばほぼ赤ちゃん、よちよち歩きの状態だよね。何もわからなくて戸惑っているはず」と話し合いながら、心情を作り上げていきました。