藤子さんにはそれ以外のシーンでも「素で生きている千里」としてのアドバイスを沢山いただいています。お互いが出ていない場面も一緒に通して演じているんですよ。監督も私の提案を積極的に試させてくれますし、すごくチーム感があってやりやすいです。
――素敵な座組ですね。1話から順に撮影していらっしゃるのですか?
いえ、バラバラなんです。1・2話、飛んで6話、そして4話に戻るみたいな。「おお~!? 今、千里はどういう状況だっけ!?」ってたまに翻弄されつつも(笑)、台本が最終話まで揃っているおかげで軸を見失わずに演じられています。
それにシーンを複雑に行ったり来たりするからこそ、チームワークも強まっている気がするんですよね。この間も監督と藤子さん、それから千里の夫・真山悠太を演じている千賀(健永)さんと「気持ちの整理をする時間」を作ったんです。
千賀さんは“悪でしかない不倫男”としての演技をしなくちゃいけなくて、監督も「もっとちょうだい、もっと、もっと!!」とボルテージが上がって行ったんですけど、120%を出し続けた結果、千里との温度差がちょっと出てきてしまって。
千里は素朴な女性ですし、そのシーンでは転生したばかりということもあって、淡々としたトーンのお芝居で悠太に応えたんです。でもそうすると、投げかけた言葉が向こうの強い圧に負けてボヨーンと跳ね返ってきてしまう。それで「これは合っているのか、いったん落ち着いて考えてみよう」という会を開いて。もっともっとの重ね合いになりがちだけど、時には引き算もしてみましょうかと意見を出し合いました。
――「対話」をとても大切にして制作されているのですね。
ひとつひとつのシーンについて、ちゃんと腑に落ちた状態で撮影できるのは本当にありがたいです。本来なら主演の一人として私が現場を引っ張る立ち位置にいなくてはいけないのかもしれませんが、「私がやらなくちゃ」というプレッシャーよりも「プロの皆さんと一緒に作っていける安心感」がとても大きくて。だからこそ「支えに感謝して頑張るぞ!」と気合が入ります。