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「不倫男は最悪。嘘は絶対NGです」

――香音さん自身にも「多面性」がありますか?

 心に何かを秘めている役をいただくことが多いんですけど、自分では、あんまり裏も表もない人間だって思ってます。ホント、どこに行っても誰に会ってもこのまんまなんですよね。どれだけ偉い方の前でも「香音でーす!」って明るく挨拶しちゃって、全然かしこまらない(笑)。

 感情を押し殺すとかもまったくないです。嬉しいも悲しいも、目に全部出ちゃいますし。だからあんまりストレスも抱えません。好きなもの食べて、好きな時に寝て。自分に素直に、まっすぐ生きてるよなって思います。

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事務所提供

――“正直であること”がご自身の核なんでしょうね。スタイルブック『かのんのぜんぶ。』でも、人にされていちばん嫌なのは「ウソをつかれること」、どうしても友達になれないのは「ウソが多い人」と書かれていますし。

 そう! 私、嘘が大嫌いなんです。だから『愛人転生』の不倫夫はもう最悪ですよ。愛人の瑠奈ちゃんのことはすごく一途に愛しているので、それは女性からしたら嬉しいのかもしれませんけど……既婚者の時点でNGです。私自身も嘘をつかないので、友達も信頼してくれるのか、恋愛相談ではカウンセリング係になっています(笑)。

――「演じる」という行為は、いつもの自分とは違う人間になることだと思います。その意味では「嘘」とも言えるのではと感じますが、難しさや葛藤はありますか?

 それこそ『愛人転生』の撮影中に監督や共演者の方々とお話しする中で、「どれだけ役を自分に寄せられるか」というアドバイスをいただいたんです。普段の私はバンバンものを言うタイプで、とても落ち着いている千里さんとは真逆。なので声のトーンや話し方は意識して作っていますけど、心境については「私が千里さんの立場だったらどう感じるかな」を起点に演じているので、そこは嘘にならなかったかな。

香音Instagram(@kanon420_official)より

 普段から頭のどこかに色んな気持ちをしまっておいて、お芝居で「今こういうことか、よしっ!」と思ったら、その感情をピュンって取り出す。そしてカットがかかった瞬間、スイッチがプチッとオフになって、“いつもの香音”に戻るんです。もっと幅のあるお芝居ができるように、これからも感情の引き出しをどんどん増やしていきたいなと思っています。