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 吉田被告が中学生・高校生のサッカー部員の写真を撮りはじめたのは、吉田被告が同校で働き始めた2018年頃からだったという。当初の目的は筋力トレーニングの成果を写真で比べることだった。

 しかし2020年頃から、体にペイントを塗った写真を提出するなど、ふざけて画像や動画を送る部員が増えていった。下ネタの動画を撮影することも不自然ではなかったという。

「過激な動画の中には、全国大会後にホテルで全裸になったり、部員がマスターベーションをしているものもあったが、部員たちはそれを面白がって学校内に拡散していた。合宿でマッサージ中にも、ある生徒が自慰行為をして布団を汚したこともあった。こうした経緯もあり、(わいせつ動画を送ることの)ハードルは下がっていた。(部員も)面白がっていました」(吉田被告)

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 その動画の中には、生徒が自身の性器をしごいたり、乳首を触っている動画も存在する。サッカー部の総監督であれば吉田被告は注意すべき立場のはずだが、それを問われると、驚きの証言をした。

「面白いと思った。私は点数をつけていた」

写真はイメージです ©AFLO

 吉田被告はその異常な価値観の背景として、自身が学生時代に体験した部活動の雰囲気にあると証言する。

「学生時代は全体の前で一発芸をしていました。流行りのアイドルグループのダンスを裸でやったりしていた。当時は、自分では面白いと思っていた。そのため、部活動のONとOFFの線引きがおかしくなっていた。犯罪になる認識はなく、生徒との距離を縮めるためだった」

「ふざけていた」「体育会のノリだった」

 修徳中学・高校サッカーのカルチャーを物語る証言も、検察官とのやりとりで飛び出している。

検察官 一連の事件のとき、どう思っていたのか?
吉田被告 ふざけるのは面白いことだと思っていた。
検察官 被害者たちは望んでいたと?
吉田被告 大声で笑っていたし、私がいないところでもやっていた。

 指導者という立場を忘れ、未成年の全裸の映像を撮影したり陰部に触れたりすることを「面白いこと」と認識し、「ふざけていた」「体育会のノリだった」と証言した吉田被告。しかし検察から懲役12年という重い求刑が出されると、明らかに動揺した。

「正直、動揺してしまい、(その後の)記憶がない。法律は裁判官が客観的に判断することです。そのため、私にできることは、本人に直接申し訳なかったと言いたいのですが、それが叶わない。(部員たちの)保護者の方や関係者の方々にも申し訳ないと思っています。刑務所に行き、自問自答をしながら、反省し、勉強し、罪を償いたい。証言してくれた友人や家族には恩返しをしたい。とにかく反省をしたい」

 体育会系の運動部の空気が、最悪の形で生徒への性加害につながってしまった事件は、いかなる決着がつけられるのか。判決は11月5日に下される。