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《菅氏は首相就任後の所信表明演説で「自分でできることは、まず自分でやってみる」と「自助」の重要性を説いた。当時、問題視されたのが「企業優遇の規制緩和」「庶民は自己責任」に傾く新自由主義との共通点。その新自由主義を日本で広めた代表格が慶応大名誉教授の竹中平蔵氏。》(東京新聞9月13日)

 今回の総裁選で進次郎氏が政策として挙げ、早くも論議になっているのが「労働者に対する解雇規制の緩和」だ。進次郎氏は「整理解雇の4要件」の見直しに言及。

《厚労省幹部は「4要件を法律に書き込んだ上で、リスキリングなどの措置を併記するのだろうか。簡単にクビを切るような方向にいきかねない」とやや困惑気味だ。》(毎日新聞9月13日)

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進次郎氏を「顔」にして裏金問題を忘れさせようとする「相殺選」なのだ

 進次郎政権になると菅&竹中的なものが再びやってくるのか? 見かけは進次郎だが中身は菅義偉という可能性。傀儡という見方を跳ね返し「進次郎なかなかやるじゃないか」の声が出ることはあるのか?

 最後に興味深い調査を見て終わろう。9月16日に発表された読売新聞による自民党の党員・党友への電話調査と、国会議員の支持動向調査だ。「高市・石破・小泉氏が競る、決選投票の公算大きく」となっている。

©時事通信社

 進次郎氏は「選挙の顔」として期待を集め、議員支持ではトップに立っているが「若さと政治経験の乏しさを不安視する向きもあり」党員・党友の支持は高市、石破両氏に後れを取っているという。

 まったく皮肉ではないか。「世論」(党員)は進次郎氏を求めるだろうと議員人気は高いが、肝心の党員は不安視しているのだ。進次郎氏の評価は「波」のように揺れ動いていると冒頭に書いたがここでも!

 結局、総理総裁としては時期尚早なのかもしれないが、そんな状態の候補が有力なのは進次郎氏を「顔」にすれば裏金問題を国民は忘れる! という自民議員の切迫した事情があらためて見える。総裁選ではなく「相殺選」なのだ。もちろん、誰がなっても裏金のことを忘れることはないと思うが。