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 きっかけは福島の汚染土の最終処分場について問われた際に「三十年後の自分は何歳か、発災直後から考えていた。健康でいられたら(県民との)その三十年後の約束を守れるかどうかの節目を見届けることができる政治家だと思う」と答えたこと。

「何を考え、どんな価値観を持っているかわからない」小泉進次郎の“怖いところ”

 これが「小泉ポエム」として面白がられる。そのあとツイッターでは進次郎氏が「言いそうなこと」の投稿が相次いだ。ネタ化することに気づいたのである。

 進次郎氏はその後もネタを投下する。環境相時代には政府が2030年度の温室効果ガス排出を46%(13年度比)削減する目標を定めたことを受けて、46%について「くっきりとした姿が浮かんできたわけではない。おぼろげながら浮かんできた」などと話した(TBS系「NEWS23」)。気候変動問題をめぐって「セクシー」と述べたときはすぐに迷言扱いとなった。

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 しかし「進次郎構文」などとネットで遊ばれて笑いや批判を集めることはマイナスばかりではない。

サーフボードを抱えて海へ向かう小泉進次郎元環境相(左)とラーム・エマニュエル駐日米大使 ©時事通信社

 ハードルが低くなったゆえに見直されることもあるからだ。福島でのサーフィンもそうだし、先日の出馬記者会見で「知的レベルが低い」と侮辱的なことを記者に言われたときに笑顔で切り返したこともそう。「進次郎、やるじゃないか」の声が出る。この構造は今後もキーになるはずなので覚えておきたい。

 進次郎氏を見ていると、自分は“二枚目俳優”と思っているがネットでは妙に面白がられて“三枚目”扱い、しかしイジられ尽くした上でのバラエティー番組での振る舞いで「やっぱり男前だ」と人気が上がるタレントに似ている。政策への評価が揺れるというより言動へ注目のみでここまで来た。

 怖いこともある。実は進次郎氏が何を考え、どんな価値観を持っているか多くの国民は知らずにきた。政策をまとめた本も出版していない。首相候補と言われてきた割には異例すぎるのだ。どんな政治家かわからないのも当然だ。

©文藝春秋

 そして今回、総裁選に出馬。進次郎氏のバックにいるのは菅義偉前首相である。あらためて考えたいのは「菅-小泉」の周辺図。菅氏は2005年、小泉純一郎政権で竹中平蔵総務相のもとで副大臣に就任した。

《菅の近親者たちは必ずと言っていいほど、政治家として菅が飛躍した転機の一つとして、この総務副大臣経験を挙げる。簡単にいえば、郵政民営化は小泉が方向を決め、竹中が指示し、菅が仕上げた。》(「総理の影 菅義偉の正体」森功)

 小泉純一郎、竹中平蔵、菅義偉のつながり。その特徴はなんだろう?