プロ野球ヤクルトの青木宣親外野手(42)が9月13日、東京都内の球団事務所で記者会見に臨み、今季限りでの現役引退を表明した。会見に駆けつけた“愛弟子”の村上宗隆内野手(24)は涙を浮かべ、その後出場した巨人戦(神宮)でホームランを放った。

ヤクルトの次期監督には宮本慎也氏の名前が挙がっているが… ©時事通信社

 優勝に突き進む巨人とは対照的に、最下位に沈んでいたチームはこの日、日米で一時代を築いた「ミスター・スワローズ」への惜別ムード一色に染まった。

 しかし一方、クラブハウスの一部選手は青木の引退が今オフの監督人事との関連性を囁き合い、新監督候補のカゲに戦々恐々としていたという。

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 ヤクルトは既に自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅し、完全消滅も時間の問題だ。高津臣吾監督(55)は今季が2年契約の2年目で、就任5年目。2021、22年と2年連続リーグ制覇を果たしたものの昨季は5位、今季も優勝争いの蚊帳の外だった。

「高津監督は薄い選手層でよく戦ってきましたが…」

 ヤクルトで5年以上務めた監督は1999~05年の若松勉監督まで遡る。それ以上となると、球団史上最長の9年間、指揮を執った野村克也監督しかいない。

 衣笠剛球団会長兼オーナー代行(75)は6月19日のヤクルト本社の株主総会後、その時5位だったチームを率いる高津監督の采配に一定の評価を与えた上で、来季契約については「まだ白紙。今(シーズンの)途中ですし、私の考えもありますが、いろいろな担当と話したりして決めていきたい」と明言を避けている。

球団の衣笠剛会長 ©時事通信社

 さる球団関係者はこう指摘する。

「高津監督は、ヤクルトではノムさん以外誰もできなかった複数回のリーグ優勝を達成し、決して選手層が厚いとは言えない中でよく戦ってきましたが、来季に向けた展望は明るいとは言えません。人心を一新し、新しい風を吹き込むしか打開策はないという考えのフロントもいます」