なぜ日本は子育てしづらいのか? なぜ母親ばかりがつかれてしまうのか…。そんな子育てにまつわる悩みと解決策を、小児科医の成田奈緒子さんと、公認心理士の上岡勇二さんによる新刊『パパもママも知っておきたい 子どもが幸せになる「8つの極意」』(産業編集センター)より一部抜粋してお届けします。(全2回の2回目/前編を読む)

写真はイメージ ©getty

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生活は変わっても子育ての価値観は昔のままの日本

 アメリカなどの欧米諸国では、夜の時間は大人のもの、という考え方が浸透しています。子どもだけをさっさと寝かせて、大人はリビングでパーティーをして盛り上がっていたり、ベビーシッターに乳児を預けて夫婦が演奏会などに出かけたりするのも当たり前です。だからといって、子どもに対して愛情がないわけでは、もちろんありません。

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 日本は、生活はすっかり欧米化しているのに、子どもとのかかわり方は旧態依然としています。子どもが3歳になるまでは母親がそばを離れず子育てに専念すべきだとの「3歳児神話」の精神はいまだに日本人のなかに根強く残っています。

 一方で、経済状況は悪化しているので、共働きが前提の社会になりつつあります。つまり、生活や働き方は欧米化しているのに、子育ての価値観は昔の日本のまま、という矛盾が生じているのです。これでは、子育て中のお母さんはつらくなるばかりです。

夫婦二人だけの時間を楽しもう

 日本では女性が子育てで無理を強いられるケースが多いですが、欧米の女性のように、自分が楽しむ時間も持つべきだと私たちは考えています。

 また、一人で楽しむ時間も大事ですが、夫婦が共に楽しむ時間をつくることも強くおすすめします。

 子育てをメインで担っているほうは、どうしても世界と視野が狭くなりがちです。

 子どものことばかりを考えて、頭の中が不安でいっぱいになっているパートナーを、もう片方が違う世界へ連れ出してあげてほしいのです。

 たとえば、結婚前や出産前に二人で楽しんでいたことを再開したり、当時の思い出話をしたりする時間をとるといいですね。そのような安らぐ時間があるだけで、子育ての不安は激減しますし、夫婦の良好な関係性も保ちやすくなります。

 子どもを誰かに預けて夫婦二人で映画を1本観に行くだけで、どれほど不安な気持ちが和らぐでしょうか。その価値を、声を大にして伝えたいです。

写真はイメージ ©getty

「でも、子どもを預けるのにも、お金がかかるしなぁ……」と思った人も、きっといるでしょう。