先輩「ナスD」はどんな人なのか?
―― テレ朝の先輩といえば、最近、ナスDこと友寄(隆英)さんが注目されてますね。
芦田 一緒に仕事をしたことはないですが、企画の相談をさせてもらったことあります。『関ジャニ仕分け∞』で横山さんと大倉さんが挑戦した「高卒認定」企画のときに、めちゃくちゃ編集方針に苦悩して、「ドキュメンタリーといえば友寄さんだ」って作家の樋口卓治さん経由で紹介してもらって。丁寧かつ親身にアドバイスをくれて、そのオンエアも見てくれて「良かったよ! 芦田くん」ってメールもくれました。すごくテレビに熱い人。今でも色々声かけてくれますね。基本無人島とかアマゾンに行ってるから、なかなか会えませんけど(笑)。
―― 芦田さんはこれからも、基本的にバラエティーの制作をずっとやっていきたいと考えているんですか?
芦田 いや……。「いや」とか言っちゃいけないですね(笑)。僕、自分の中で入社した時に決めてたことがあって、5年以内にディレクターになれなかったら異動届出そうと思ってたんですよ。それって運もあるんですけど、なれなかったらそれは向いてないと割り切って、お金を稼ぐ部署だったり、他のスキルを付けるキャリアにシフトしようと決めてました。時間は限られているので。で、もしそれが達成できたら、その次は10年以内にゴールデンの総合演出になれなかったら異動届出そうと思ってました。
「俺は一生制作でやるぞ」とはあんまり決めないようにしてます
―― 全てクリアしているとはいえ、けっこう自分に課すんですね。
芦田 そうですね。で、今の短期的な目標はもう1個ゴールデンプライムで当てること。それでもし当てることができたとして、そこで自分がどう思うかで決めればいいかなと思っていますその次は。会社っていろんな部署があるんで、「俺は一生制作でやるぞ」とはあんまり決めないようにしてます。
―― そう考えているとは、けっこう意外な感じです。
芦田 決してバラエティが嫌とかではなくて、一人の人間の「スキル」としてもっと違うベクトルも伸ばすことができるんじゃないかっていう自分への問いかけが常にあります。今ってやっぱりずっとオンな感覚で、プライベートと仕事が一体化している感じなんですよね。せいこうさんの番組で世論調査の本読みながら思いましたけど、ものを作る仕事をしているのに、知識をインプットする時間がないのはやっぱり良くないなって。別のものをインプットする時間がないと、「こっちじゃないな」っていう気づきも鈍くなっちゃうし、世界観が狭くなったり、変なこだわりが強くなって自分を潰しかねない気がします。
―― 『めちゃイケ』『ごっつええ感じ』育ちとしては、いつか純粋なお笑い番組もやってみたいですか?
芦田 やりたいです。ただ、やりたい気持ちはありますけど、自分が得意なのはゴリゴリのお笑いよりも、『あいつ今』のような、「人」を描くドキュメントバラエティのほうなのかなと思っています。自分の番組を見なければ絶対に知りえないような人たちの人生を魅力的に、興味深く、面白く描くっていう。今は日本で一番面白いドキュメントバラエティを作れる演出家になりたいなと思っています。
#1 『あいつ今何してる?』をヒットさせた“若手社員”の「かなりトガってたAD時代」
http://bunshun.jp/articles/-/7356
#2 テレ朝バラエティーのエース! 『あいつ今何してる?』はどうやって生まれたのか?
http://bunshun.jp/articles/-/7357
写真=深野未季/文藝春秋
あしだ・たろう/1985年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。2008年テレビ朝日入社。主にバラエティを制作する総合編成局第1制作部に所属し、『あいつ今何してる?』の演出・プロデューサーを務める。『雑学王』『検索ちゃん』『学べるニュース』『ナニコレ珍百景』『関ジャニの仕分け∞』などでADを経験。3年目に『キャラブレイク』で初めての企画演出を経験。その後、『関ジャニの仕分け∞』『関ジャム完全燃SHOW』などでディレクターを務めた。現在、『ロボット旅』『ファクトリサーチTV』も演出兼プロデューサーを担当している。