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ほかのSMAPメンバーにはない草彅の“能力”とは

 当時は、韓流ブームなどまだ起きていない時代です。僕はとっさに意図が呑み込めませんでした。が、剛さんなりの見通しとねらいがあったのでしょう。

 現在の韓流の定着浸透ぶりを見ると、先見の明があったのだと思い知らされます。飯島さんも最初はびっくりしていましたが、すぐに「おもしろい」と話に乗りました。その判断力と柔軟性には舌を巻きます。

 それで番組づくりにゴーが出たのですが、剛さんがすごかったのは、韓国の文化や言語への没頭ぶりです。

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 最初の放送から、いきなりの韓国ロケでした。徐々に言葉を学んでいくのではありきたりだろうから、なぜかすでに韓国語をペラペラ話せたほうがおもしろいとの演出上の意図から、剛さんはカタカナだけで書かれたカンペを読んで、韓国語のセリフを発音しました。

 1回目をそのやり方で撮影したあと、そこからがすさまじかった。剛さんは1ヶ月後の2回目のロケまでに猛勉強して、日常会話ができる程度にまで韓国語をマスターしてしまいました。

SMAP ©文藝春秋

 その後も剛さんは韓国語の学習に没頭します。番組開始から3ヶ月経ったころ、『SMAP×SMAP』のメンバー全員によるエンドトーク中、剛さんはいきなり韓国語でしゃべり始めてしまいました。勉強のしすぎで、いま自分の話しているのが日本語なのか韓国語なのか、よくわからなくなってしまったのでした。

 それほどまでの熱意で語学習得に打ち込んで、半年後には完全に韓国語をマスターしてしまった。まさにこれが彼の持ち味です。スイッチが入ったときの、対象へのエネルギーのかけ方が半端ないのです。

 ここぞの突破力や、「化ける」能力は、メンバーのなかでいちばん大きいんじゃないでしょうか。

 芝居にしても語学にしても、彼はそうして自分のものにしてきたのです。ここ数年は、ギターに熱中しているそうですね。そちらも何らかの成果に結びついていくのだと思います。

 付け加えれば、いまに続く韓流ブームの起点は草彅剛にあり、ということは改めて強調しておきたいところですね。