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香取慎吾を“凶悪ストーカー犯罪者”に仕立て上げたTV番組の顛末

 専門家も「もし女子高生に危害を加えたなら強硬手段もやむを得ないでしょう」と語る。番組では、視聴者へ「強硬手段をとるべき」か「引き続き様子を見守るべき」かで電話によるアンケートを実施するのだ。

 反響は凄まじかった。何しろ、ゴールデンタイムで超人気番組『SMAP×SMAP』の特別編だ。もちろん、番組中には何度も「これはフィクションです」というテロップを出していたが、局には「香取くんがあんなことするわけない!」だとか「香取くんが死ぬなら私も死ぬ!」といった電話が殺到した。

「山荘の部分は事前に収録したもので、それをスタジオと生中継風に掛け合いをしてもらうんです。だから、スタジオにいる司会者には『くれぐれもアドリブを言わないでください』ってお願いして(笑)。スタジオのコメンテーター役で出てもらったテリー伊藤さんに『あれ、VTRだったんだ。生だと思ってたよ、スゴイね!』って言われたときは嬉しかったですね。ディレクターの大先輩ですから」(長江)

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 立てこもった香取慎吾に対して次の行動を問うアンケートにも、想定を超える数の票が集まった。どちらが選ばれてもいいようにVTRはふたつ用意していたという。

 視聴者の投票は「強硬手段をとるべき」が上回った。

 強行突入し、鳴り響く銃声。

 撃たれた香取がタンカに乗せられ運ばれていく。

 すると、突然、香取が立ち上がり画面に向かって語りかける。

「あなたはこの一連の報道をどう見ていましたか? 人の生死がかかわった状況であるにもかかわらず、ひょっとしたら興奮して楽しんでご覧になった方もいるんじゃないでしょうか。

 そう、特に『強硬手段をとるべき』に投票したあなた。あなたが知っていることがすべて真実とは限らない。いまからお見せする本当の真実。それを見終わった後、あなたはどう感じるのでしょう?」

 この後、香取側から見た事件の概要がドラマとして放送される。そうして実際にはまったく逆の“真実”が明かされていくのだ。

 再び「報道番組」に切り替わる。