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いったん上陸を許すと侵略者の排除はむちゃくちゃ難しい

 現にこの夏はラファール戦闘機2機、A330空中給油機2機をも従えたフランス航空宇宙軍が百里基地に到着、航空自衛隊のF-2戦闘機と共同訓練を繰り広げる一方、海軍はフリゲート「ブルターニュ」を日本に派遣。関東地方から沖縄沖太平洋上で、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」に護衛艦「おおなみ」さらに潜水艦にP-1哨戒機も参加した日独伊仏豪の連合艦隊が各種戦術訓練「ノーブル・レイブン」作戦まで繰り広げたのは、先日イタリア空母「カヴール」の記事で紹介させてもろた通りである。

 

 中国がロシアがウクライナを侵略したように台湾海峡を渡り、台湾有事が起こるや、我が国と東南アジア、中東、ヨーロッパを結ぶ重要なシーレーンが閉ざされ、インド太平洋地域に暮らす160万のフランス人も孤立してまう。フランスとしても日本で中国やロシアにフランス軍のプレゼンスを示すことで自国民とフランスの権益を断固守るという覚悟を国際社会に示すことにもなるのである。

 しかしたとえ空と海を守れてもいったん上陸を許すと侵略者の排除はむちゃくちゃ難しい。現に我が国は北海道北方領土をソ連、その後のロシアに不法占拠されたまま79年間、手出しもできない。それを倣った韓国に島根県竹島を奪われて居直られても、政府は友好と話し合いを説くしかないのである。話し合いで領土を奪還した国家なんぞないと百も承知で。

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 かくして自衛隊はロシア軍によるウクライナ侵攻、中国による台湾有事も念頭に離島防衛、奪還からさらにつっこんだ市街地戦闘も含めた対ゲリラ・コマンドゥ作戦「BRUNET TAKAMORI 24」をフランス軍と実施するに至ったのである。

 所は宮城県王城寺原演習場内に造られた銀行、ホテル、スーパーまで模した市街地戦闘訓練施設では建物内に潜伏したゲリラを掃討する近接戦闘に人質救出作戦が、さらにそこからヘリ移動して岩手県岩手山演習場では山間部に潜伏、その後侵攻してくる敵ゲリラを掃討するため実弾を使用した総合射撃訓練まで行ったのである。