しいたけ占いを知らない男性たちが招いた悲劇的につまらない会話とは…。「面白くない話マニア」の伊藤竣泰氏の新刊『面白くない話事典』(飛鳥新社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
◆◆◆
2022年6月某日、午後5時過ぎ。埼玉県内某所にあるスーパー銭湯の休憩スペースにて。20代前半と思われる男性3人、女性2人の5人組である。大学生の仲良し5人組だろうか。湯上りのチルタイム、女性陣は雑誌の占い記事に夢中である。
男性たちのプライドが招いた「悲劇」
女性A「あ、しいたけ占い出てるじゃん! 忘れてたっ!」
女性B「ウチもまだ見てない、見よ見よ!」
男性A「しいたけ占いって最近よく聞くヤツ?」
男性B「結構前からみんな言ってね? 見たことないけど」
男性C「オレ、“きのこ派”だけどなー」
男性B「きのこ派は陰キャだぞ。“たけのこ派”こそ陽キャだから」
男性A「派閥なのに何で占ってんだよ(笑)」
男性C「しいたけ派は?」
男性A「しいたけ派は基本女子だからわかんね」
男性B「下半期は1位たけのこ、2位しいたけ、3位きのこ、だから」
女性A「え? てか、タカシ何座? 2月だっけ?」
男性B「え~とね、2月だから、ぶなしめじ座」
この男性達は、ついていけない話題に対して「知らない」と言えないプライドがあるのかもしれない。“しいたけ”の部分を取り出して、『きのこの山』『たけのこの里』に横スライドさせて無理矢理話を広げているが、この状況でボケようとするのは、ある種のいじけにも感じる。
いざ女性から話題を振られると、相手を困らせるボケをカマすなど、場の主導権を握らんとする粗暴な輩である。面白くないレベル★★☆☆☆