病院の医師から診断されたのは「ステージ4のがん」と「余命4ヶ月宣告」…。今も病魔と戦う森永卓郎さんの「がんとの向き合い方」を、岸博幸氏との対談本『遺言 絶望の日本を生き抜くために』(宝島社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

森永卓郎さん ©文藝春秋

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「余命10年」の人生プラン

森永 最初に、我々の共通項であるがんの話をしたいと思います。岸さんはいま、主治医からどのような診断を受けていますか?

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 多発性骨髄腫です。これは分かりやすく言うと、血液のがんですね。

森永 病気が分かったのはいつだったのでしょうか?

 去年(2023年)の1月です。一昨年の夏頃から「どうも最近、疲れやすくなっているな」という自覚症状がありました。周囲からも「顔色が悪いよ」と言われていたのですが、ちょうどその年の秋に還暦(満60歳)を迎えたこともあり、これも年齢のせいかな、くらいに思っていたんです。

森永 最初は軽視していたんですね。

 そうなんです。ただ自分でも気になって、5年ぶりに人間ドックを受診したところ、クリニックの院長が「すぐに血液内科の専門医に診てもらったほうがいい」と言うわけですね。それで、この分野では著名なドクターの診察を受け、その日のうちに多発性骨髄腫であることが判明しました。

森永 そのとき、余命についての説明はありましたか?

 非常に婉曲な言い方ではありましたが、「治療を受けることによって10年から15年は大丈夫でしょう」と言われましたね。この多発性骨髄腫という病気は完治が難しいとされており、共存しながら生存期間をのばしていく。そういう考え方になります。

森永 そもそも、がんは基本的に完治が難しいですからね。そうすると、岸さんは「残り時間10年くらい」という人生プランで生きる。そういうイメージですか。

 まさにそうですね。