「どんな名医が主治医でもセカンドオピニオンをすすめる」という森山紀之医師。これまでに1000人以上の患者にがんを告知して治療にあたってきました。なぜ、セカンドオピニオンをすすめるのでしょうか。セカンドオピニオンの受け方や、提示された治療法を選択するポイントなどについてもお聞きしました(全3回の2回目/#1より続く)。

森山紀之医師

「地域で一番の大学病院だから」「主治医に失礼」という遠慮はいらない

──森山先生はセカンドオピニオンをすすめていらっしゃいますが、それはなぜですか。

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森山 セカンドオピニオンで主治医と同じ意見が出されれば、より治療に対する安心が高まりますし、異なる意見が出されれば治療の選択肢が広がります。セカンドオピニオンは、医師の示す治療方針を患者さん自身が納得するために受けるものなので、「地域で一番の大学病院だから」「主治医に失礼」などと遠慮する必要はまったくありません。

 

──でも、「最終的に自分で選んでください」と言われても、決断できるかどうかわかりません。

森山 そうですよね。「あなたが選んでください」といわれて選べる人なんてそういないですよ。なので私はできるだけ「自分ならこうする」という言葉を付け加えるようにしています。以前も、前立腺がんの患者さんが、手術をするか放射線治療をするか迷っておられたので、「放射線の医者と外科の医者、両方のセカンドオピニオンを聞いてください」と紹介状を書いて、「もし私なら放射線治療を選びます」と付け加え、その科学的根拠を示しました。

 医者があまり誘導してはいけないので、最終的には患者さんの責任ということにはなるんですが、その患者さんは過去に直腸がんの手術をしていて、再度の手術はリスクがありました。それでもリンパ節への転移があれば手術をすすめますが、幸いリンパ節への転移もなく、非常に早期だったので、放射線治療で生活の質を下げずに手術同様の治療効果が得られるというエビデンスを示したうえで、両方の専門医のセカンドオピニオンをおすすめしたところ、後日「放射線治療にします」とお返事をいただきました。