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須藤被告の弁護士が冒頭陳述でこう述べている。

「あやしいから、やっているに違いない。もし、そう思って結論が決まってしまうならば、この裁判をやる意味はありません」(朝日新聞9月13日付)

「その上で、『そもそも野崎さんの死は殺人事件なのか』『被告が犯人なのか』が争点だと指摘。『被告が人を殺す量(の覚醒剤)を飲ませることができたのか』といった点について、検察側が裁判で立証できたかを判断してほしい、と訴えた」(同)

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私は、須藤早貴被告が真っ白無罪だと考えているわけではない。しかし、少しでもグレーな部分があり、検察側の主張に疑問があれば、刑事訴訟法の原点に立ち返るべきではないか。

この一見簡単そうに見える殺人事件の裁判は、検察官、裁判官、裁判員たちにとって厳しい判断を迫られるものになる。私はそう思っている。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。