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「気弱だ」「そんな精神面ではアメリカで成功しない」

「メジャーの各球団は最大限の誠意を示しました。しかし交渉がなかなかまとまらなかったことで、本当にアメリカに来たいのかどうか菅野の覚悟を疑うようになりました。当時31歳とメジャー挑戦はギリギリの年齢で、1年経てば状態がどうなっているかもわからない。その状況でもリスクを背負わない菅野に『気弱だ』と批判の声があがり、『そんな精神面ではアメリカで成功しないのでは』という人さえいました」

 結局、ポスティング移籍で与えられた30日間の交渉期間中にはどの球団とも合意には達しなかった。MLB挑戦を断念した時、菅野は「もうちょっと時間があればと思った」と発言した。

エースを送り出すことになる阿部慎之助監督 ©時事通信社

 当時の米メディアの報道によれば、巨人の提示はメジャー球団の約半分の4年総額44億円程度だったという。しかし菅野はMLB挑戦の可能性を残すために単年で契約を更改してきた。

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 しかし翌年から6勝、10勝、4勝と不本意な成績が続き、21年に8億円だった推定年俸も6億→5億→4億と半減。とてもメジャーを口にできるような状態ではなかった。

「今度こそ本気なんだろうか?」と懐疑的な球団も

 ある球団の打撃コーチは、昨季までの3年間の不振の要因を投球フォームに求める。「体が開いて、腕が遠くから回ってきてバッターには球が見えやすかったですね。NPBでも年々ピッチャーの球速が上がっている中で、菅野の球威は平凡。もうピークは過ぎたなと思っていました」

菅野智之 ©時事通信社

  さらにメジャー球団が指摘していたように、精神面でも時折、弱さが顔をのぞかせていたようだ。

「打たれて交代でマウンドから下りるときにやたらと下半身を気にするとか、身体に痛みがあるような素振りをすることがあったんです。それが『不調だった言い訳をしているようだ』と見られ、精神的にそれほど強くないと評価する人もいます」(同)

  この打撃コーチによれば、今季はフォームの課題が完全に解消されたという。となれば、メンタル面はどうか。

「年齢的に間違いなくラストチャンスで、決意は固いでしょう。既に代理人を選定していて、メジャー球団からのオファー内容もある程度予測できていると思います。金銭面にはさほど固執せず、環境面を重視して球団を選ぶとは思うのですが……。前回のことがあり、一部球団には『今度こそ本気なんだろうか?』と懐疑的に捉えている幹部がいますからね」(同代理人)

  今回は事実上、交渉期限がない。4年越しの夢の行方が注目される。