世界屈指のパスセンスを誇り、日本バスケットボール界を牽引する町田瑠唯選手(31)。所属する富士通レッドウェーブは、10月11日から開幕したWリーグで連覇を目指す。とにかく負けず嫌いだったという幼少期、身長を理由に「無理だ」と言われてもバスケの道を歩み続けた理由、今後の展望について聞いた。(全2回の2回目/はじめから読む)
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20cm以上の身長差があっても…「“壁”という発想はない」
――2020年の東京五輪では日本初の銀メダルに貢献しただけでなく、フランス戦では18本のアシストを決め、五輪新記録を樹立しました。162cmと世界に比べたら身長が20cm以上低いのに、どうやって壁を乗り越えてきたんですか。
町田 壁って思ったことはあんまりないんですよ。課題はたくさんありますけど、それをどうやって克服するかと常に考えているので、“壁”という発想はないですね。相手が大きければ大きいほど楽しいし、相手が強ければ強いほどチャレンジ精神が湧いて、かえってワクワクするというか。小さいから「無理」と思ったことは一度もないかな。
もちろん、周りからは何度も「その身長じゃ無理」と言われ続けてきましたけど、そのたびに燃えちゃって……。とにかく負けず嫌いなんですよ。
兄に負けるのが悔しかった
――その負けず嫌いはいつごろから醸成されたんですか。
町田 私は兄、姉の3きょうだいの末っ子で、物心ついた頃から私の遊び相手は5歳上の兄とその友達でした。彼らとは野球をして遊ぶことが多かったので、同じように打ちたかったし投げたかったので、一人でこっそり練習していました。今でも自主練を見られるのが苦手なんですが、この頃からですね。
家の中では兄とプロレスやK-1ごっこ。でも負けるのが悔しくて、何度も兄にチャレンジしていた気がします。
――そんな野球少女だった町田選手が、なぜバスケットに目覚めたんでしょうか?