世界屈指のパスセンスを誇り、日本バスケットボール界を牽引する町田瑠唯選手(31)。所属するWリーグ・富士通レッドウェーブは、10月11日から開幕した新シーズンで連覇を目指す。3戦全敗に終わり「やりきれなかった」というパリ五輪、本場アメリカのWNBAリーグへの挑戦、周囲が「見えすぎてしまう」という意外な日常生活などについて聞いた。(全2回の1回目/つづきを読む)
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消化不良のまま終わってしまった
――パリ五輪で、バスケット女子日本代表は3戦全敗という結果に終わってしまいました。町田選手にとってはリオ、東京に続く3度目となる五輪の舞台でしたが、振り返っていかがでしょうか。
町田 率直に、やりきれなかったですね。前の2大会は負けた悔しさもありましたが、“日本のバスケ”は出来ていた部分もあり、楽しさがあったんです。でも、今回は違う感情というか……。対戦した米国、ドイツ、ベルギーに対し私たちの良さをほとんど出せなかったやりきれなさというか、消化不良のまま終わってしまった切なさがあります。
――今回のバスケスタイルが合わなかったのでは? 選手のみなさんがコート上で窮屈そうに見えました。
町田 戦術が、というより、日本らしいバスケをやりきれなかったのは、PG(ポイントガード)である私の責任でもあります。この経験を、しっかりと今後に生かしていきたい。
「5人が一体となって戦う」日本の強み
――東京五輪では銀メダルを獲ったこともあり、対戦国は日本バスケをかなり研究していたような気がします。今後日本が国際大会で勝つためにはどうすればいいのでしょうか?
町田 高さではどうしても差が出てしまう。なのでスピードやクイックネス、そして運動量や3ポイントシュートの確率も上げていかなきゃならないなと。プレーの細かさや、チームワークといった部分もさらに詰めていく必要があると今回思いました。もちろん、スキルの高さももっと磨く必要がありますが、5人が一体になったときの突破力が日本の強みだと思うので、それをどこまでやりきれるかだと思います。
絶対に負けられない試合
ーー昨シーズンのWリーグ決勝戦(富士通対デンソー)は、とても見応えのある試合でした。富士通が優勝を決めると、普段は冷静な町田選手がめずらしく感情を昂らせた場面も……。
町田 富士通にとって16年ぶりの優勝でした。やっと優勝できた喜びと、今までチームを支え一緒に戦ってきた先輩方や仲間たちのことを思い出して、涙が止まらなかったです。
――優勝して環境や考えが変わったことはありますか。