先週末、新聞史上でも初めて? と思われる光景があった。

 1人の人物の名刺が一斉に紙面に載ったのだ。

「内閣総理大臣秘書官 柳瀬唯夫」

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「名刺じゃんけん」最強の一手が出た

 公開したのは愛媛県の中村時広知事。愛媛県が「名刺じゃんけん」で出したら最強だと思われていたカードが遂に出たのである。とどめ刺した感。

中村時広・愛媛県知事 ©共同通信社

 一方で興味深かったのは新聞の報道の仕方である。読売新聞だけが官邸の住所・連絡先にモザイクを入れていた。え、そこ?

 超・公の場所だと思われる官邸の住所は特定秘密? 不思議な扱いであった。

 そういえば、例の山口メンバー事件のときは読売新聞だけが「山口達也容疑者」と報じていた。新聞によっての基準、解釈をまたしても興味深く面白く感じた一件だった。

「極論で言えば、ウソ」中村知事のキャッチーな反撃

 さて「首相案件」である。

 官邸側だって愛媛県の職員が柳瀬氏の名刺を持っていることはわかっていたはずだ。でも、のらりくらり誤魔化せばなんとか逃げ切れると考えていたのだからすごい。名刺を持っていた愛媛県側が徐々にあきれていく様子も想像したい。

読売新聞(手前)は柳瀬氏の名刺の「画像を一部修正」している

 中村時広知事の柳瀬氏に対する発言はいずれもキャッチーだった。各紙から抜粋する。

「県職員は子供の使いではない」(毎日 12日)

「県の信頼に関わること、極論で言えば、ウソ」(読売 12日)

「うそは第三者を巻き込むことになる」(日経夕刊 11日)

「会った会わないでこんなに引きずらないといけないのか」(朝日夕刊 11日)

 ちなみに、柳瀬氏が「あまりお話しにならなかった方は記憶からだんだん抜けていく」と言うと「県の職員としてしっかり発言している」ときっちり反撃をくらわす。(朝日 12日)