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矛盾が浮き彫りになる見出し

 あらためて柳瀬氏の答弁に戻ると、東京新聞のこの見出しがわかりやすかった。

「報告しない首相秘書官」(11日)

 首相秘書官と言えば首相と一心同体の存在だが、柳瀬氏は加計学園については「なぜか」報告していないという。矛盾が浮き彫りになる見出し。

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 柳瀬氏は2015年に加計学園関係者と3回面会しているが、安倍首相が同学園の獣医学部新設計画を知ったのは2017年1月という。

安倍晋三首相 ©杉山拓也/文藝春秋

「(首相が知るまで)2年近くも何も言わない。そんなことがあり得るのか」(長妻昭氏 読売 11日)

「総理が17年1月に初めて知ったという答弁ラインを守りたいからだろう」(江田憲司氏 読売 同日)

 安倍首相が「2017年1月に初めて知った」と断言したから、柳瀬氏の記憶があいまいになってしまった。そんな匂いがプンプンする。

「忖度」論争、安倍首相の作戦変更

 一方で柳瀬氏の「上司」は、

「安倍首相『忖度、される側は分からない』フジ番組で説明」(朝日新聞デジタル 11日)

安倍首相は新たな戦法を産み出した? ©JMPA

《忖度(そんたく)というのはですね、指示をすれば問題だと言われますけれども、指示していないのに、忖度される側がどうだったのかというと、分からないわけですね。例えば指示していないのに、忖度した側も、果たして忖度したかどうかっていうのもあいまいな場合もあるんだろうと思います。指示を明確にし、組織の中でやっていただく。間違っても、私に近いから利益を得たりということは絶対にあってはならないということは、はっきりしていかなければいけない。(フジテレビの番組で)》

 忖度はあるが、自分は忖度される側だから「知らない」という作戦に切り替えたらしい。

 その結果、部下が記憶を飛ばすしかない事態に……。なんだかなぁ。

 以上、ここ最近目立った「リーダー3人」の読み比べでした。