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 さらに野田代表は、裏金議員を公認しないことについて「厳しいように見せかけている」と、処分の軽さを指摘した。それを聞いた石破首相は「お答えします」とサッと立ちあがった。先ほどよりも明らかに速い。

 自身が2度無所属で選挙を戦ったことを上げ「公認がないことがどれほど辛いのか」と処分の重さを主張し、「甘いとか、いい加減だとか、一切考えていない」と語気を荒げて言い切った。

 公認しなかった議員が選挙に勝った場合に追加公認するかを聞かれた時は、石破首相の微妙な線引きが見てとれた。

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石破氏を長年地元で支えてきた妻の佳子氏 ©文藝春秋

 野田代表が「早く総選挙をやって、早くみそぎをすませて、早く要職つけようというお考えか」と聞く間、「みそぎをすませて」までは頷いて聞いていたが、「要職につけようと」で首を傾げて横に大きく振ったのだ。

 公認を与えることを野田代表は「お墨付きを与える」と表現したが、石破首相にとって選挙によって国民の信託を得た議員こそが、国民から「お墨付きをもらった」と言えるのだろう。自民党の議席数を増やすためにも選挙に勝ってお墨付きを得れば追加公認はするが、要職につけるつもりは現段階ではなさそうだ。

派閥の裏金疑惑の質問になると、急に腰が重くなり…

 石破首相が椅子から立ち上がるスピードが一気に遅くなったのが、派閥の裏金疑惑についての質問の時だった。

発言のブレが目立つ石破首相 ©時事通信社

 野田代表が「あなたは新しい事実が出てくれば再調査すると何度も言った」と再調査を求めると、石破首相は一度上げた手をひじ掛けに戻し、両手で身体を起こすようにゆっくりゆっくり椅子から立ち上がり、「再調査を否定するものではない」と低い声で述べた。

 すぐに野田代表が「再調査をやるのか、やらないのか」と畳みかけるが、石破首相は立ち上がりかけた身体を一瞬止め、ゆっくりと立ち上がって「最大限の努力をしてきた」と答えるにとどめた。この問題を追及されている間、石破首相の腰はどんどん重くなっていった。党内への忖度があるのか、党内力学が働くのか、断言できないことへの引け目と答えることへの躊躇を感じさせる。