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石破首相が「追及されたくなかったこと」とは
石破首相の動揺が現れたのは、野田代表が「予算委員会を開いて(裏金議員を)証人喚問させてくれ」と裏金問題を追及した時だ。石破首相は椅子のひじ掛けを握るようにさすっていた。これは、落ち着かない気持ちや感情をなだめる時に見られる仕草だ。
苦笑いを浮かべて身体を重たそうに持ち上げ、声のトーンを下げて「予算委員会の開催は国会でお決めいただくこと」と回答。
「その上で」と出てきた言葉は予算委員会に絡めた「石川や能登半島の方々の困窮を改善する」ための予備費の話題だ。「野田代表もご存じのように」と話題をすり替える。これ以上、派閥の裏金問題について追及されたくなかったのだ。
全体を通して印象的だったのは、この討論のあいだ石破首相は立憲民主党の政策や野田代表の考えを問う姿勢を一度も見せなかったことだ。野党が本格論戦を求め、討論時間が通例の45分から1時間20分に延長されていたが、石破首相は問いかけられたことに答えるのみで討論というよりも国会答弁のようだった。
総選挙に向け、国民が判断できる材料をできるだけ提供すると述べていた石破首相。果たしてこの短い期間に、石破内閣のメッセージは国民に伝わったのだろうか。総選挙は約2週間後に迫っている。