日本全国で9000カ所以上ある、電動キックボードなどのシェアリングサービス・LUUP(ループ)の貸し出し・返却スペースが、集合住宅の消火器などの消防設備や緊急時の避難器具降下地点に設置されていて今、物議を醸している。運営元は取材に対して「速やかに適切な対応を行っていく」と回答した。

LUUPが邪魔で消火器が…

東京・品川区にある、電動キックボードなどのシェアリングサービス・LUUPの貸し出し・返却スペース。

LUUPが邪魔で消火器が取り出しづらそうな状態になっている

マンション前の一角に設置された消火器の前に電動キックボードが、ずらりと並んでいる。LUUPが邪魔で消火器が取り出しづらそうな状態になっている。

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消防用設備のすぐ近くがLUUPの置き場所となっている投稿がSNSに相次いでいる

SNS上では今、消防用設備のすぐ近くがLUUPの置き場所となっている投稿が相次ぎ、物議を醸している。

 

東京・品川区内で探してみたところ、同様の場所が見つかった。

時間帯によっては多数のLUUPが止められていて、その間は消火器が取り出しにくい状態に

この場所は、時間帯によっては多数のLUUPが止められていて、その間は消火器が取り出しにくい状態になっていた。

 

さらに別の場所でもLUUPが消火器をふさいだ状態になっていて、住民も「万が一何かあった時には安全上問題あるかな。やっぱり(LUUP置き場が) 急にできたので、いつのまにできたんだろうと正直びっくりした」と戸惑っていた。

LUUP運営元「現在、消防用設備の使用に支障がある箇所には設置しないことにしている」

LUUPの運営元によると、貸し出しと返却のための“LUUP置き場”は、全国で9000カ所以上あるという。

 

土地の所有者やマンションの管理会社などは、運営元と契約するだけで、実際のLUUP設置作業や車両の整備などは、全て運営元が行っているという。

 

大阪市内のマンションでは、緊急時の避難器具降下地点が、LUUP置き場になっていた。

 

上の穴からは避難用はしごが降りてくるため、LUUPが置かれていると避難の障害になりえる。この状況について専門家は、消防法違反の可能性を指摘する。

元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫氏:
(マンションなどの)はしごが下りてくる真下に何かが設置されているということであれば、要は避難ができなくなってしまうということです。消防法の違反になる可能性があります。

SNSに投稿された時のスペースが…
その後、避難器具降下地点を避けるようにスペースが縮小されていた

SNSでの指摘を受けてか、このマンションのLUUP置き場は、その後、避難器具降下地点を避けるようにスペースが縮小されていた。

 

取材に対し運営元は、「現在、消防用設備の使用に支障がある箇所には設置しないことにしている」と説明。その上で、一部見落としがあった場所については、「速やかに適切な対応を行っていく」としている。
(「イット!」 10月10日放送より)