「忙しくて本が読めない」と感じる人が増えているのか、関連する新書が近年ベストセラーになることは珍しくない。その中で、年間700冊以上を読破する作家・書評家の印南淳史氏による『現代人のための 読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)が10月17日発売された。

 ついついスマホを見たくなってしまうあなたを、読書家へと導く“究極の読書法”とは。その一部を同書から抜粋して紹介する。(全2回の1回目/続きを読む

「ついついスマホを見てしまう自分」から「読書する自分」に変える方法

 デジタルデトックスを勧める記事などにはほぼ例外なく、「スマホを手の届かない場所に置こう」というようなメッセージが登場します。スマホはいろいろな意味で誘惑に満ちたツールなのですから、そこから距離を置くべきだという考え方はとても理にかなっていると思います。

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 デジタルデトックスしようという場合に限らず、集中したい場合などにも、スマホを1メートル離れた場所に置くというような姿勢はとても大切です。そしてもちろん、同じことは読書をする際の心がまえにもあてはまります。いうまでもなく、スマホは読書の大敵だから。

『現代人のための 読書入門 本を読むとはどういうことか』©光文社

 たとえば電車に乗っていて手持ち無沙汰になったとき、多くの人は無意識のうちにスマホを手に取ってしまうはずです。周囲の人たちがみなそうしていることからもわかるように、スマホは暇を潰すのに最適なツールです。

 家で過ごしているときにしても同じで、テレビを観る代わりにスマホを眺めるとか、ひどいときには(いや、よくある話かもしれませんが)テレビを観ながらスマホをいじっているというようなケースもあるのではないでしょうか。私自身も似たようなことをしていることがあるので、充分に納得できる話です。

 そのため、人ごとのように偉そうなことをいう資格はないのですけれど、少なくとも読書習慣をつけたいというのであれば、スマホの誘惑はできる限り断ち切ったほうがいいと思います。もちろん、非常に難しいことなんですけどね。

 そこで試してみていただきたいのは、自分の内部に定着している「当たり前」を排除してみることです。