30歳を目前にした女性の悩みを鮮やかに切り取り、香港で7週連続ベスト10入りという大ヒットを記録した映画『29歳問題』。これで監督デビューし、映画賞を総なめにしたキーレン・パンさんは、もともと舞台女優だった。2005年から演じる自作の演劇『29+1』が原作となっている。
「私にとっても30歳は契機でした。28歳で劇団を辞め、29歳でパリに行き、自分で創作をしようと決意し、30歳でこの作品を上演しました。当時は私自身が人生の悩みの真っ只中にいたので、重いムードの舞台になってしまったんです。でも翌年再演したら、軽やかになったと言われた。客観的になれたんですね。40歳を過ぎた今年も、久々に舞台で演じたのですが、悩んでいたあの頃の自分が愛おしくなりました」
2人の対照的なアラサー女性を、人気女優2人が演じるが、舞台版ではパン監督の1人2役。今回も演じる気は無かった?
「私が演じても映画館にお客さんは来ませんから(笑)。実は香港には2役を演じられる女優がこの世代にはいないのです。でも2人に分けたらと人に言われて、これだ! と思いました。新しい世界が広がり、うまくいきました。30歳に限らず、この映画で描いているのは普遍的な悩み。今までの決断が全部正しいとは限らないけれど、人生をやり直す必要はない。自分の過ちを受け入れることが、これから生きる上で大切なんだと思います」
INFORMATION
映画『29歳問題』
5月19日より公開
http://29saimondai.com/