2024(令和6)年2月、AさんはNPO法人千葉性暴力支援センターに相談。精神科への通院も始めた。3月13日に東金警察署に被害届を提出した。同署は5月、Bに対する任意の取調べを実施。ポリグラフ(ウソ発見機)検査の際に、Bは自ら犯行の詳細を打ち明け始めたという。この供述内容が、被害者Aさんの話と一致したために、Bは緊急逮捕される。6月20日に準強制わいせつ罪で起訴された。
優越的地位にある者が弟子に行ったスピリチュアル・アビューズ
現在、本件は千葉地方裁判所八日市場支部で審理中。9月3日の第1回公判で被告人は公訴事実を認めており、10月29日に予定されている第2回公判で結審の見込みだ。
この事件の特徴は、Aさんの信心が利用され、師僧という優越的地位にある者が弟子に対して性加害を行った「スピリチュアル・アビューズ(宗教を利用した虐待や搾取)」であることだ。
Aさんは今回の記者発表に際し、「自分がしっかりと被害と向き合い、声をあげることで、自分と同じような被害を受けている人の助けになりたい」とした上で、加害者Bに対しは、「大きな怒りを感じている。加害者にはしかるべき処罰が与えられるべきです」と語気を強めた。
Aさんは、同じように性暴力被害を受けている人へのメッセージも発信した。
「今回の公表は、加害者に社会的制裁を与えたいとか、そういった思いから踏み切ったわけではありません。踏み切るまでにはいろんな思いや葛藤がありました。身内や宗門からの反対もあり、声に出すことは悪なのかと悩みました。ですが、これらを公表することで性暴力や性犯罪について一人でも多くの方に関心を持っていただくことと、今まさにとても苦しい思いをしている人たちがたくさんいると思いますが、その誰か一人にでもこの声が届いて、ほんの少しでも気付きや力になれればという思いで、公表に踏み切りました。弱い立場の人が躊躇なく声をあげることができ、力のある人はその力を弱い立場の人を守るために使えるような、そんな世の中になっていくことを願っています」