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Q:民間試験は高額ではないか、学生の経済的格差にどう配慮するか

A:大きな課題です。安全性を高めるためには監督者が必要となり、人件費を下げることはできません。ただし、場所代に関しては、大学や地方自治体に協力を要請することもできると思います。受験料に関しては、現在は政府や地方公共団体等で受験料補助の導入など、負担軽減策が検討されています。収入に応じて補助がつく可能性は極めて高いと思います。少なくとも、現状よりも経済的な格差の影響が拡大しないよう最大限の手はずを整えるべきでしょう。

Q:地方では試験が受けにくいなどの地域格差が出るのでは

A:CBTという試験会場にあるパソコンで受験する方式を活用することで、試験会場まで飛行機や電車で何時間もかかるようなことをなくす必要があります。もちろんセキュリティ面の強化が前提となります。たとえば英検とGTECは47都道府県で受けることはできますが、遠隔地についての手当はこれから考えなくてはなりません。町教委や村教委の協力を得て会場を確保し、現地の学校等でCBT試験が受けられるようになれば、交通費の負担も軽減することができるでしょう。

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Q:どの試験を選ぶかで有利不利が出るのでは

A:実施までの間に、それぞれの試験の特性を受験生によく知ってもらう必要があります。民間試験にはそれぞれTLU(対象使用言語領域)があり、ビジネス・アカデミック・一般に大別されています。また難易度についても、世界中の大学やテスト機関が使っている評価基準CEFR(ヨ-ロッパ言語共通参照枠)に準拠していますので、どういう英語を使って難易度はどのくらいの試験であるのかを把握してもらい、自分に向いている試験を選べるようにしなければなりません。

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Q:各試験のレベル(CEFRとの対照が)がきちんと検証されていないのでは

A:文科省の指示で各試験運営団体が専門家パネルを設置し、検証作業を進めました。その報告書をもとに大学入試センターで審査し、従来の対照表を修正しました。検証過程はすべて公表されています。今後は、さらに各試験を横断した比較調査を、大学入試センターが行なうべきだと思います。こうしたカリブレーション(目盛り合わせ)は試験を行なう限り永遠に続けるものです。CEFRと対応させることで、英語力を世界標準で知ることができるので、日本の英語教育の国際通用性は高まるでしょう。