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客情報提供コミュニティの存在

 延宝三年(一六七五)『山茶やぶれ笠』(小石河住山水氏頓滴林)の末尾には、客から情報を募ったことについて、こんなふうに書かれています。

 お客たちを招きよせ、それぞれの遊女の心根や善し悪しなどを事細やかに語らせ、怪しい話は咎め、詳しく但し書きを入れるなどした。なにかの証拠になるだろうから、話を聞いたお敵(客)たちの異名を評判にことごとく書き加えた。良く書かれた遊女は更に良くなるよう精進し、悪く書かれた遊女は注意しなさい。

 遊女評判記執筆にあたってわざわざお客たちを呼びよせ、それぞれが会っている遊女について語らせたということです。どこに呼び集めたかは書かれていませんが、評判記の作者はどうも揚屋の一角や揚屋裏の座敷を間借りしたりしていたようなので、見知った客を座敷に招き、酒でも飲みながら話を聞いたのでしょう。